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B.MAGAZINE編集長・菜波の「教えて!」国際事業編

2025.03.07

その他


【(C)B.LEAGUE】


国際戦略を重視するB.LEAGUEでは、海外ファン獲得に向けて様々な取り組みを実施しています。すでにフィリピンではB.LEAGUEの試合が放送・配信されるなど、現地でも盛り上がりを見せています。国際事業における競技面、ビジネス面について、B.MAGAZINE編集長の菜波が国際事業グループの岡本直也にお話を聞きました。

本日の登場人物

 
【(C)B.LEAGUE】

岡本直也
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
2024年入社。前職では国際スポーツイベント、アスリートビジネス等の立ち上げ等、スポーツビジスデベロップメントに従事

【国際事業グループでは何をしているの?】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 国際事業グループではどのような取り組みをしているのか教えてください。

岡本 国際事業グループは2020年に立ち上がった部署です。アジア特別枠として加入した選手の出身国へのPR、海外放映権の販売、リーグ間での提携などを進めてきました。

私が入社した昨年4月頃からは、さらにビジネスを拡大していくため戦略性をより意識するようになりました。先日発表しましたが、NBAとの戦略的提携ではB.LEAGUEのクラブや選手をサマーリーグ級のイベントに送り込み、選手たちのレベルをより上げたい狙いがあります。オンコートでは競技力向上への取り組み、オフコートでは海外で稼ぐこと。これら2つのことに取り組んでいます。加えて、EASL(東アジアスーパーリーグ)やBCLアジア(バスケットボールチャンピオンズリーグアジア)といったB.LEAGUEのクラブが出場する国際大会にも関わっています。

菜波 NBAとの提携は大きなニュースでした。苦労する部分もあったと想像します。

岡本 実は、そこまで大変ではなかったです。それはひとえに、B.LEAGUEとして積み上げてきたものがこの結果を生んだと思っているからです。B.LEAGUEはアジアで注目を集めるリーグになっています。NBAもアジア戦略に取り組んでいて、勢いのあるB.LEAGUEと提携することにメリットを感じてくれました。昨年の8月か9月に提携の話を初めてして、「年内に締結しましょう」と。3カ月ほどで締結に至りました。

菜波 すごいです。先ほどお話しいただいた競技力向上以外にはどのような狙いがありますか?

岡本 大きく分けて3つあり、B.LEAGUEの選手にNBAやGリーグの高い競技レベルで経験を積んでもらうのが一番やりたいことで、そこに関してはNBA側と話を進めているところです。2つ目は共同プロモーション。例えばソーシャルメディアを活用するとか、イベントにレジェンド選手を招聘するなど、相互プロモーション活動をやっていきたいです。3つ目は物販とライセンス。試合会場でグッズを販売したり、一緒にグッズを開発したりできたらと思っています。
 

【(C)B.LEAGUE】

菜波 楽しみです。入社前も含めてB.LEAGUEで印象に残っている出来事は何ですか?

岡本 外部から来た身として、B.LEAGUEのイベントはどれもクオリティーが高いと感じています。オールスター、ファイナル、アワードなど、どれもファンの期待を超えられるようなイベントを開催しているなと。私自身はスポーツ業界に10年以上いて、過去には海外のサッカークラブ、前職の事業会社ではNBA含めてバスケットボールにも携わってきました。主に海外を相手に仕事してきましたが、自分の考えとしては、日本には海外でお金を稼げるスポーツコンテンツがほとんどないと思っていました。NBAやNFL(アメリカンフットボール)、UEFAチャンピオンズリーグ(サッカー)と、大半が欧米のものです。B.LEAGUEも海外でしっかりとビジネスを作っていきたいと思い、入社したのでそれを実現するために国際事業グループで働いています。

菜波 海外での経験が豊富なんですね。

岡本 はい。過去の経験を踏まえて、B.LEAGUEの課題感というか、「もっとこうだったらいいのに」ということを話し合っています。
 

【B.LEAGUEの国際化】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 これまでは「国際事業」と聞いて、ピンとくることが少なかったですが、11月の「TAIWAN FESTIVAL」を取材するため秋田ノーザンハピネッツのホームゲームに行きました。ガディアガ(モハマド アルバシール)選手を応援するシートで試合を観戦したら、周りに台湾からのお客さんがたくさんいて、インタビューをさせてもらいました。B.LEAGUEは台湾でも有名で、試合や情報をチェックしている方が多くいたんです。そこで海外にも届いているんだと感じました。

岡本 アジア特別枠の対象国ではバスケットボールが人気のスポーツです。フィリピン、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、中国、インドネシアなどなど。それらの選手が加入することで、現地が盛り上がるとか、メディアが注目することも含めてアジア特別枠の制度を導入しています。今シーズンから13カ国に増やしたのはそういった考えが理由です。ガディアガ選手だけではなく、ファイティングイーグルス名古屋に曾祥鈞選手、滋賀レイクスに大卒ルーキーで游艾喆選手が加入し、台湾からB.LEAGUEに挑戦するという新たな選択肢が生まれたのはすごく大きいと思っています。現地の大学生にもB.LEAGUEの知名度が上がってきていると感じます。

菜波 なるほど。2025-26シーズンからは中東のレバノンが追加されますよね。今後も拡大していく予定ですか?

岡本 難しい問題で、中東にはレベルの高い選手が多いんです。すべての国を対象にしてしまうと、中東の選手ばかりになってしまう可能性があって。フィリピンや台湾といった国とは築いてきた関係性があるので、今回はレバノンだけお試しで追加することにしました。

【(C)B.LEAGUE】

菜波 そうだったんですね。アジア特別枠の対象国でもB.LEAGUEの試合を放送しているんですか?

岡本 B.LEAGUEの価値を感じていただき、フィリピンでは2つのテレビ局で放送・配信しています。台湾でも近日中に放送・配信ができるようになる予定です。

菜波 まずはアジアを中心に伸ばしていく狙いなんですね。

岡本 フェーズ1からフェーズ3の3つに分けています。フェーズ1はバスケットボールが人気の国の選手を獲得すること。フェーズ2はその国にテレビの放映権を売るとか、買っていただけなくてもB.LEAGUEを認知してもらい、試合を日常的に見られる環境を作っていくこと。そこでファンベースができるので、認知を好きに変えるのがフェーズ3です。具体的には現地でイベントやクリニックを開催しています。
 

【(C)B.LEAGUE】

菜波 フィリピンではイベントを開催していますよね。

岡本 国によって戦略が異なっていて、フィリピンはすでにフェーズ3の段階ですね。昨シーズンはパブリックビューイングイベントとクリニックを開催して、今シーズンも予定しています。

菜波 アジア特別枠の選手が加入することで、現地からのお客さんも増えたと思います。

岡本 オールスターでは、昨シーズン7人だったのが今シーズンは49人まで増えました。レギュラーシーズンはチケットシステムの関係で海外からどれだけ来たのかがデータとしてありませんが、インバウンド需要によって増えているのは事実です。三遠ネオフェニックスではサーディ・ラベナ(※2020-21シーズンから4シーズンにわたって在籍)選手の加入によって、一定数のフィリピン人が来場していました。人気が高まっているのは実感しています。
菜波 インバウンドの方に向けたツアーがあっても面白そうですね。

岡本 まさにそういったことにも取り組んでいきたいと思っています。

【国際化がもたらす効果は?】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 なるほど。日本のバスケットボール界にとって、国際化はどのようなプラス要素があると感じていますか?

岡本 1つは我々の取り組みとつながりますが、選手、コーチ、レフェリーなどいろいろな方が日本以外のバスケットボールを知るとか、逆に海外の方にB.LEAGUEを知ってもらうことで、競技力の向上になると思っています。もう1つはオフコートの面で、日本での収入が頭打ちになった時、海外にどんどん拡大していけるのか。日本円でしか得られなかった収入を、ドルやペソなどいろいろな通貨で得られるようになること。そのお金がBリーグをはじめとするバスケットボールコミュニティーの拡大やレベルアップしていくことに繋がることがすごく重要だと思っています。これらが国際戦略の価値なのかなと。河村勇輝選手がNBAに挑戦していますけど、B.LEAGUE出身の2人目、3人目をどのように輩出していくのか。NBL(オーストラリア)とも提携を結んでいるので、選手たちにはレベルの高いリーグに挑戦してほしいですし、それが「2030年までにNBA選手を5人輩出」という目標につながってくると思っています。

菜波 NBAに次ぐ世界2位のリーグを目指すB.LEAGUEにとって、国際化して知ってもらうことが大事ですね。シーズン中に行われるEASLもその機会の1つだと思います。
 

【(C)B.LEAGUE】

岡本 そのとおりですね。アジア戦略を進めているなか、EASL出場国に対するショーケースという意味で広島ドラゴンフライズと琉球ゴールデンキングスがそれぞれのグループステージを1位で通過し、3月7日から9日にかけてマカオで行われるFINAL4に進出しました。前回大会では千葉ジェッツが優勝したので、B.LEAGUE勢の連覇に期待しています。「東アジアではB.LEAGUEのチームを倒せない」というほどの地位を築いてほしいです。

菜波 岡本さん個人として、今後はどのような夢を思い描いていますか?

岡本 様々な国籍の選手にB.LEAGUEでプレーしてほしいです。NBAの関係者とも話していることですが、B.LEAGUEはアジアのショーケースで、各国の代表選手がいるということ。フィリピンは多数の代表選手がB.LEAGUEでプレーしています。アジアでも強くて人気な国は多くあるので、フィリピンと同じような世界観になると、競技力が高まると同時に、世界から見られる目も変わってくると思っています。

 

【(C)B.LEAGUE】
 

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