『スタッツで見るBリーグ』シーズン序盤の"得点力急上昇"ランキングTOP30!
りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASONが開幕し、B1は早くも14試合(約1/4)を消化。
開幕からわずか1ヶ月半で、多くの選手たちが昨シーズンを上回る活躍を見せている。
「あの選手、今シーズンは得点力が違う!」
そんな印象を、「得点期待値」「eFG%」という2つのスタッツが昨シーズンよりも大きく向上している選手たち、つまり得点力急上昇中の30選手を紹介していこう。
スタッツ紹介
・得点期待値 :その選手が一回攻撃した場合、平均何得点することができるのかを数値化したスタッツが得点期待値である。
このスタッツを見れば、出場時間が少ない選手と多い選手をある程度同じ条件で比較することができる。
計算式
※選手の総攻撃回数= シュート本数 + ターンオーバー数 + (0.44 * フリースロー本数)
・eFG%(実質シュート決定率) :3Pシュートに比重(1.5倍)をかけて補正したフィールドゴール成功率。
ある2選手を比較する
・選手A:10本中5本成功(フィールドゴール成功率50%)全て2ポイントシュートで10点獲得
・選手B:10本中4本成功(フィールドゴール成功率40%)2ポイント2本と3ポイント2本で10点獲得
一般的なフィールドゴール成功率だけを見ると選手Aの方が優秀に見えるが、実際には同じ10本のシュートで10得点を獲得している。
eFG%を使うと、この矛盾を解消しより正確な「シュートの効率」を数値化することができる。
計算式
それでは、今季得点期待値が上昇している選手ランキングを見てみよう
チーム | 名前(背番号・ポジション) 2ptA% |
23-24 得点期待値 |
24-25 得点期待値 |
23-24 eFG% |
24-25 eFG% |
23-24 平均得点 |
24-25 平均得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
三遠 |
吉井 裕鷹(#10 SF) |
0.79 |
1.38 |
38.50% |
71.62% |
1.6 |
12.4 |
秋田 |
赤穂 雷太(#6 SG/SF) |
0.75 |
1.14 |
39.90% |
57.63% |
4.9 |
7.9 |
A東京 |
小酒部 泰暉(#75 SG) |
0.89 |
1.26 |
48.00% |
64.41% |
5.5 |
8.6 |
群馬 |
辻 直人(#9 SG) |
1.00 |
1.30 |
51.27% |
69.44% |
9.4 |
11.3 |
三河 |
石井 講祐(#27 SG) |
0.89 |
1.16 |
47.50% |
58.11% |
4.2 |
5.3 |
大阪 |
ライアン・ルーサー(#11 C/PF) |
0.90 |
1.14 |
56.10% |
60.67% |
11.8 |
13.6 |
三河 |
角野 亮伍(#18 SG/SF) |
0.91 |
1.14 |
52.78% |
58.54% |
4 |
5.1 |
秋田 |
田口 成浩(#5 SG) |
0.88 |
1.07 |
49.40% |
55.38% |
7.9 |
8.4 |
島根 |
エヴァンス ルーク(#33 PF) |
0.86 |
1.06 |
49.70% |
57.79% |
9.5 |
10.6 |
三河 |
久保田 義章(#11 PG) |
0.87 |
1.06 |
48.15% |
50.00% |
6.1 |
8.5 |
三遠 |
大浦 颯太(#5 PG) |
0.94 |
1.12 |
53.10% |
56.79% |
9.5 |
10.7 |
三遠 |
津屋 一球(#28 SG) |
0.93 |
1.11 |
51.50% |
59.43% |
4.1 |
6.6 |
川崎 |
ロスコ・アレン(#25 SF/PF) |
1.03 |
1.21 |
53.24% |
57.32% |
15 |
19.8 |
島根 |
コティ・クラーク(#1 PF) |
0.98 |
1.15 |
50.81% |
60.08% |
16.1 |
18.6 |
琉球 |
ケヴェ・アルマ(#12 C/PF) |
1.00 |
1.15 |
53.20% |
62.50% |
14 |
12.8 |
名古屋D |
スコット・エサトン(#43 C/PF) |
1.12 |
1.27 |
64.76% |
65.09% |
16.2 |
18.9 |
広島 |
ケリー・ブラックシアー・ジュニア(#8 C/PF) |
1.04 |
1.18 |
56.10% |
58.74% |
14.2 |
17.8 |
琉球 |
アレックス・カーク(#53 C) |
1.17 |
1.30 |
67.39% |
63.64% |
7.8 |
9.8 |
茨城 |
中村 功平(#13 PG/SG) |
0.91 |
1.03 |
48.36% |
55.56% |
7.2 |
7.1 |
宇都宮 |
D.J・ニュービル(#25 PG/SG) |
1.02 |
1.14 |
58.06% |
62.41% |
16.3 |
20.2 |
名古屋D |
佐藤 卓磨(#14 SG/SF) |
0.96 |
1.07 |
52.22% |
52.94% |
5.4 |
5.9 |
宇都宮 |
グラント・ジェレット(#34 PF) |
1.02 |
1.13 |
52.78% |
60.36% |
10.7 |
14.7 |
大阪 |
レイ・パークスジュニア(#1 SG) |
0.95 |
1.05 |
51.10% |
55.42% |
8.8 |
17.2 |
三河 |
ジェイク・レイマン(#10 SF/PF) |
1.08 |
1.17 |
58.02% |
61.24% |
15.3 |
13.3 |
SR渋谷 |
リード・トラビス(#22 C/PF) |
0.95 |
1.03 |
49.30% |
53.75% |
16.8 |
10.5 |
三河 |
須田 侑太郎(#13 SG/SF) |
0.99 |
1.05 |
51.69% |
55.88% |
10.1 |
8.1 |
宇都宮 |
竹内 公輔(#10 C/PF) |
0.97 |
1.03 |
51.85% |
62.50% |
3.4 |
5.9 |
群馬 |
細川 一輝(#29 SG) |
0.97 |
1.02 |
51.80% |
53.95% |
7.9 |
8.6 |
京都 |
チャールズ・ジャクソン(#10 C) |
1.06 |
1.11 |
62.96% |
69.01% |
12.7 |
12.1 |
千葉J |
ジョン・ムーニー(#33 C/PF) |
1.15 |
1.19 |
58.80% |
59.38% |
17.9 |
14.3 |
※出場10試合以上の選手を対象としている
上昇率ランキング
第5位 石井 講祐(シーホース三河)
得点期待値:0.26上昇 eFG%:10.61%上昇
「3ポイントシューター」として期待される石井選手が、今季は見事にその期待に応えている。特に印象的だったのは10月20日の大阪戦。第4クォーター1人で15得点を記録する爆発的な得点力を見せた。
3ポイントシュートの成功率は、コートのあらゆる位置で大幅アップ。
特に右ウイング(35.2%→46.6%)、左ウイィング(31.2%→36.3%)、トップ(13.8%→50%)が大きく上昇している。
元々この3つのエリアは石井選手の試投数が多い重要な位置であるため、チームから求められる役割(セットオフェンスからの3ポイントシュートなど)をより力強く遂行できている。
第4位 辻 直人(群馬クレインサンダーズ)
得点期待値:0.3上昇 eFG%:18.18%上昇
今季の辻選手は、"質の高い得点力"で活躍している。出場時間は21分と昨季より減少しているにもかかわらず、得点は増加。より少ない時間で、より多くの得点を挙げることに成功している。
特に3ポイントシュートの精度が劇的に向上。昨シーズン特に多く放っていた位置であるトップと右ウイングはそれぞれ28.5%→46.6%、30.7%→57.1%と大幅に上昇している。さらに注目すべきは、ミッドレンジシュートでの驚異的な成功率61%。一般的にNBAでは「効率の悪いシュート」とされるこのエリアで、群馬の得点源として大きな武器となっている。
第3位 小酒部 泰暉(アルバルク東京)
得点期待値:0.37上昇 eFG%:16.41%上昇
今季の小酒部選手は、得意の3ポイントシュートはもちろん、鋭いドライブからの得点パターンがより洗練され「点取り屋」として大きく進化。難易度の高いドライブからの3ポイントシュート決定率上昇もさることながら、今季の得点期待値を押し上げている要因は、ペイントエリアでの驚異的な成功率。
特に注目なのが、ノーチャージエリアの外側での得点効率だ。このエリアは、NBAでも「フローター」と呼ばれる難しいシュートを放つことが多く、一般的に成功率の低いエリアとして知られている。しかし小酒部選手は、このエリアでの成功率を42.8%から60%へと大幅に向上させることに成功。
ペイントエリアへの侵入自体を許すことができない選手として活躍している。
第2位 赤穂 雷太(秋田ノーザンハピネッツ)
得点期待値:0.39上昇 eFG%:17.73%上昇
「鉄壁のディフェンス」から「万能の3&D選手」へ。秋田で2年目を迎えた赤穂選手が驚きの進化を見せている。
横浜BC時代から3ポイントシュートの練習を重ね、より多くのチャンスで挑戦を続けてきた。しかし、最も得意なエリアでさえも成功率26.6%と、課題の残る結果であった。
それが今季開幕からわずか1ヶ月で、見違えるような3ポイントシューターへと変貌。コート上のほぼ全てのエリアで、昨シーズンから10%以上も成功率が向上。特に印象的なのは、オープンでの3ポイントシュートの確実性だ。相手に隙を与えられた時の「確実に決める」という強みは、チームにとって大きな武器となっている。
リーグ8位の3ポイント試投率を誇る秋田にとって、守備の要である赤穂選手が「信頼できる3ポイントシューター」としても機能し始めたことは、大きな戦力アップとなるだろう。
第1位 吉井 裕鷹(三遠ネオフェニックス)
得点期待値:0.59上昇 eFG%:33.12%上昇
パリ2024オリンピック直前に行われた強化試合で、NBAのMVPであるニコラ・ヨキッチとの一騎打ちで魅せた堅固なディフェンス。
オリンピックでは世界の強豪たちを相手に奮闘したディフェンスの雄が、今季は攻撃面でも衝撃的な躍進を見せている。
日本代表で培った得点パターンが、三遠でも大きな武器となっている。厳しいディフェンスの中でも冷静に決める3ポイントシュート、特にコーナーやウイングからの正確無比な決定力。さらに、相手の隙を突くバックドアカットからの力強い2ポイントシューョットなど、得点パターンの幅を広げている。
チームでの重要性は数字が物語る。平均得点はチーム3位、出場時間は25分50秒でチーム2位。まさに攻守の要として、三遠の躍進を支えている。
文=しんたろう 監修=バスケット・カウント