B.MAGAZINE編集長・菜波の「教えて!」INFRONEER B.Hi TOUCH編
【(C)B.LEAGUE】
B.LEAGUEではインフロニア・ホールディングス株式会社とともにイベント「INFRONEER B.Hi TOUCH(以下 B.Hi TOUCH)」を2024年10月13日からスタート。日本全国のクラブで12月31日まで順次開催されている。親子で楽しめるB.Hi TOUCHとはどのようなイベントなのか。B.MAGAZINE編集長の菜波がB.Hi TOUCHを担当する湯川、乙女にお話をうかがいました。
本日の登場人物
湯川
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
2020年入社。前職ではスポーツを中心としたWEBサイトの企画、制作、運用などを担当。現職ではデジタルマーケティング、CRMなどを担当
乙女
バスケットボール・コーポレーション株式会社
2023年入社。前職でのアニメ・ファンシーキャラクター、2.5次元舞台など幅広いジャンルの商品企画の経験を活かして、現職ではオリジナル商品の企画やサブライセンス監修を担当。
【INFRONEER B.Hi TOUCHって何?】
【(C)B.LEAGUE】
菜波 まずはB.Hi TOUCHの概要について聞かせてください。昨シーズンまで開催されていた「B.LEAGUE FESTIVITIES(以下B.FES)」と何が違うのでしょうか?
湯川 名前を変えるとともに、内容自体をバージョンアップさせました。昨シーズンのB.FESでいえば、吉本興業所属の芸人さんをアリーナに呼んで、“お祭り”のようなイベントでした。今シーズンはターゲットを絞り、B.LEAGUEを観戦したことがないファミリー層に向けて企画しました。
菜波 なるほど。だから「すみっコぐらし」とのコラボなんですね。
湯川 はい。クラブごとに異なりますが、アリーナに行ったらすみっコぐらしのキャラクターに会えて、抽選会に参加できるなど、様々なイベントを用意しました。
乙女 私はすみっコぐらしがすごく好きで、B.Hi TOUCHをファミリー層に向けたイベントにすると決めた時、「ターゲットにする年齢層とすみっコぐらしは親和性があるな」と。ぜひやりたいということを湯川に伝えて、話が進んでいきました。
菜波 念願が叶ったんですね。ところで、B.FESからB.Hi TOUCHに名称を変えた理由は何ですか?
湯川 B.FESはお祭りのようで、それはそれで楽しいイメージがあります。ただ、新規のファミリー層をファンとして獲得していくとなった時、お祭りというより、初めての方でも入り込みやすい名前で、コンセプトや思いを込めたものにしたいなと。ハイタッチは、親子で交わすものがあれば、うれしさを表現するものでもあります。地元のクラブと初観戦の方とのタッチ等そういった意味も込めて「来て、見て、触って、親子ではじめてのアリーナ」を掲げて、ハイタッチをコンセプトにしています。
菜波 ビジュアルには親子でハイタッチする様子が描かれていますね。
湯川 ほかにはキッチンカー、グルメ、音楽、バスケットボールなどの要素も詰め込んでいます。バスケットボールを押し出しすぎたくなかったというか。親子にお話を聞く機会があったのですが、「試合にはバスケットボールのことを詳しい人や好きな人が行くものですよね」と話していて、そこのハードルを下げたかったんです。
菜波 いいですね。子どもの頃からバスケットボールを見ると、競技人口も増えそうですよね。
湯川 そこはLTV(※Life Time Valueの略。顧客生涯価値の意味)というか、子どもの頃に接してくれると、大きくなってからもう一度来てくれるきっかけになると思っています。
菜波 小さなお子さんがブカブカのユニフォームを着る姿はすごくいいなと思って見ています。B.Hi TOUCHでは具体的にどのような企画が予定されていますか?
【INFRONEER B.Hi TOUCHでは何をやるの?】
【(C)B.LEAGUE】
湯川 B.FESの良かった部分は継続しようと思っています。実際には各クラブにB.Hi TOUCHの対象試合を設けてもらいます。親子に来てもらいやすいように、すみっコぐらしのキャラクターが来たり、『トミカ No.63 前田製作所 かにクレーン』をもらえたり、LINEの抽選会に参加できたり。リーグとしては親子で楽しめる企画を用意していて、加えてクラブ独自の企画もあります。
乙女 例を挙げると、サンロッカーズ渋谷では『東京都Presents 男性の家事・育児応援DAY』として開催した試合で白バイ乗車体験が行われ、警視庁のピーポくんとハッピーポが来場しました。マスコットのサンディが白バイをふかして、それを見たすみっコぐらしのファンがビックリするようなこともあったみたいです(笑)。
湯川 リーグが用意する企画と、それに合わせた企画を用意するクラブもあって、親子で1日楽しめる試合もあります。
菜波 リーグとは別にクラブ独自の企画もあるんですね。
乙女 鹿児島レブナイズが最初の実施クラブで、すみっコぐらしのイラストを使った塗り絵の企画を開催しました。とても評判が良く、お子さんたちは積極的に参加していたようで、少しほっこりするブースになったようです。みんなが夢中でしたよ。
菜波 B.Hi TOUCHの限定グッズも販売されるんですよね?
乙女 基本的にB.LEAGUEとすみっコぐらしのコラボグッズになります。クリアファイル、スポーツタオル、Tシャツ、トートバッグ、ミニタオル、パーカーのほかに、ランダムのステッカーも販売されます。特にすみっコぐらしのイラストとクラブロゴのアクリルキーホルダーが売れ筋で、鹿児島レブナイズの試合会場では、早い段階で完売したと聞いています。
菜波 バスケットボールに興味がない方でも、すみっコぐらしをきっかけにアリーナに来て、競技にもハマっていくのはいいですね。私も欲しいです。今回のグッズでこだわりはありますか?
乙女 すみっコぐらしでよく売れる商品を参考にしました。すみっコぐらしはパステル調のピンクや黄色など可愛い色が多いですけど、B.LEAGUEとコラボすることになり、特別に黒いユニフォームを着たカッコいいデザインにしてもらったのは特徴です。
菜波 一番こだわったグッズは何ですか?
乙女 菜波さんも着ているTシャツですね。背面にB1、B2の全クラブロゴを入れました。
菜波 たしかに全部入っている。下にすみっコぐらしもしっかりと。
乙女 前から見ると普段使いしやすいようなデザインになっていると思っています。クラブのTシャツは多いですけど、B.LEAGUEのはあまりないので、それにチャレンジできたのは良かったですね。B.Hi TOUCHのイベントを宣伝していきたい思いがあったので、あえてこういった全体統一のデザインにしました。
【インフロニア・ホールディングス株式会社との企画も開催】
【(C)B.LEAGUE】
菜波 ところで、B.Hi TOUCHのターゲットとしてはファミリー層になりますか?
湯川 親子で初めて見に来る方々が中心です。そこですみっコぐらしのファンを連れてくることができればいいかなと思っています。
菜波 B.FESからガラッと変わることになりますが、いかがですか?
湯川 僕は昨シーズンのB.FESを担当し、大変な部分や表現しきれない部分がありました。芸人さんを呼ぶけど、「B.FESは何だったのかな」といった難しさはありました。そこで今回はターゲットをすみっコぐらしのファンに振りきりました。鹿児島では一度もB.LEAGUEの試合を見たことがない親子に会い、「すみっコぐらしが大好きだから今日の試合に来ました。鹿児島にはすみっコぐらしのキャラクターがあまり来ないと思って」と。お子さんは全身がねこ(※すみっコぐらしのキャラクター)の服装でした。うれしそうに写真を撮っていて、ハーフタイムにもう一度会ったら、マスコットのれぶにゃんのカチューシャを着用していて。「すみっコぐらしが好きで試合に来たら、れぶにゃんが可愛くてファンになりました。B.LEAGUEのことも好きになりました」と話してくれて、ねこや乙女とハイタッチして、帰っていきました。
菜波 すごい!
湯川 どれくらいのインパクトがあるのか、どれくらい来てくれるのかわかりませんでしたけど、あの親子を見て、このパターンを増やしていけばいいと感じました。
菜波 あるべき姿ですよね。
湯川&乙女 うれしかったですよ。
菜波 すみっコぐらしとのグッズは会場に来ないと手に入らないものですもんね。
湯川 この機会にぜひ会場に来てもらいたいです。
菜波 担当して大変だったことは何ですか?
湯川 B.FESから名前やロゴを一新したので、様々な意見があると思います。そこで、B.LEAGUEとしてどのようにコンセプトや狙いを表現していくのか。B.LEAUGEイノベーションパートナーのインフロニア・ホールディングス株式会社様とともに開催する企画なので、両社の強みや意図、狙いなどを踏まえて議論、段取りは大変でした。
菜波 インフロニア冠試合限定イベントも開催されるんですね。「かにクレーンバスケ」……?
湯川 インフロニア・ホールディングス様は、総合インフラサービス企業として、「社会・地域の安全安心とサスティナビリティ」の実現に向け、従来の建設だけでなく、コンセッション事業として、道路、空港、下工水などの多くのインフラ運営をしており、現在は各地のアリーナや競技場の運営にも取り組んでいます。普段の生活では道路や建設のことをあまり意識しないじゃないですか。そういった意味で親子に対して、こんなクレーン車がそれを支えているよとか、道路の補修を簡単にできる技術もあることを理解してもらうために、今回の冠パートナーになっていただきました。対象の16試合にはこのかにクレーンを設置して、親子でシュートにチャレンジしていただき、参加賞としてトミカ No.63 前田製作所 かにクレーンをプレゼントするなど、親子の取り組みを意識しています。
菜波 私も挑戦したいです! このクレーンはどのような仕組みになっているんですか?
湯川 高さが変わるんですが、支える脚が出てきて、稼働する時はそれが閉まるようになっていて、ローラーだけだとすごくコンパクトです。災害が起こった時、狭いところも通過できるようになっています。
菜波 現場で使われているクレーンなんですね。
乙女 プレゼントするトミカも『かにクレーン』ですよ!
菜波 面白いですね。バスケインフラリーグ(BIリーグ)とロードーキーパーもインフロニア冠試合限定イベントです。
湯川 BIリーグでは最終的に、街の公共施設を写真撮影することにつなげてほしいです。例えば、ボロボロになった電柱を変えなければいけないとか、ヒビ割れた道路を補修しなければいけないとか。インフロニアはこういった情報を集めたいんです。バスケットボール好きの人が自分たちの街を撮影して、最終的にはそのデータを行政に渡し、地域を活性化させていく狙いがあります。ただ、ユーザーに対して深く伝えすぎてしまうと、わからなくなってしまうので、写真を撮って投稿してほしいと。まずはバスケットボールに関する施設の写真を投稿して、みんなで競い合うリーグ戦を11月から開催します。
菜波 これも興味深い取り組みですね。ゲーム感覚というか、子どもともマッチしそうです。
湯川 おっしゃるとおりです。街を歩きつつ、撮った写真を投稿する。社会課題解決に関する取り組みやイベントに参加することでポイントを獲得できます。リーグ戦終了時、その総計ポイントによってシーズン優勝クラブが決定します。ファンみんなで写真を撮影すれば楽しいし、応援するクラブが上位にいくのはうれしいですよね。
菜波 力を合わせるという意味でも、またファン同士の関係が生まれそうですね。写真を撮影することから、社会課題を解決することにつながるのは大きな話ですね。
湯川 インフロニアは今シーズンからB.LEAGUEのイノベーションパートナーを務めているので、そういったことから世の中を変えていこうと。思いが強いパートナーさんとの取り組みになっています。
菜波 ガタガタな道路の写真を撮ることはないですよね。そういった取り組みを知るだけで、「あっ、見つけた」となりそうです。道路の補修がロードーキーパーにつながるということですか?
湯川 はい。道路にヒビが入っていた時、粘土のようなものを練って埋めると補修されるんです。同じような作業をB.LEAGUEの試合会場で体験できます。子どもとしては粘土を練る感覚ですが、それが道路を直す作業になっていることを理解してもらうんです。
菜波 すごいですね。写真を撮るだけではなく、自分で補修までできてしまうという。子どもにとっては職業体験のような感覚ですよね。
湯川 親子がすみっコぐらしをきっかけに来てくれるのはもちろんですが、パートナーでもあるインフロニアさんの意図とも合致させていきたいと思っています。
【INFRONEER B.Hi TOUCHが目指すもの】
【(C)B.LEAGUE】
菜波 B.Hi TOUCHは今シーズンからの取り組みですが、来シーズン以降を含めた今後の目標を聞かせてください。
乙女 「0を1にする」というのがB.Hi TOUCHの大きな目標です。バスケットボールを全くわからない方々に多く来てほしいですね。そのきっかけの1つがすみっコぐらしだと思っています。まだ課題はありますけど、すみっコぐらしのファンに向けてアプローチして、多くの方にアリーナに来てほしいです。
菜波 すみっコぐらしファンならではの考えですね。
湯川 「0を1にする」という接点がなかった人に来場してもらうこと。加えて「0を0.5にする」という動きも意識していて、ガラポン抽選会や塗り絵を企画し、クラブのLINEアカウントの友達になってもらう。興味を持った人が行くかわからないけど、クラブのSNSをフォローすると、クラブがその後の来場促進を続けていけるようになります。ファンベースを広げる動きにも取り組んだので、クラブにとっては新規のファンを増やせる要因になれればいいなと思っています。
乙女 B.Hi TOUCHの取り組みで新規のバスケットボールファンも、未来のバスケットボールファンも増えていくと思っています。湯川さんの目標は何ですか?
湯川 バスケットボールはアリーナスポーツなので、親子にすごく合うと思います。天候、気温は関係ないですから、スポーツを観戦しやすい環境です。子育てを頑張るママやパパが「子どもを試合観戦に連れていくと家族みんなが楽しい」といった感情を持ってくれればうれしいですね。「小さい子どもがいるファミリーならB.Hi TOUCH」といった代名詞がつくとすごくいいと思っています。僕にも娘がいて昔は一緒にスポーツ観戦に行っていたのですが、小学3年生くらいから一緒に行かなくなってしまって。中学3年生くらいになって急にスポーツ観戦の熱が戻ってきて、ファンクラブに入ったり、選手グッズを買ったり、欲しいものがあったら自分でお小遣いを貯めて買ったり。小さい頃の体験があったから戻ってきたのかなと思っています。スポーツ観戦から離れる時期があると思いますが、小さい頃に行っているからこそ、中学生、高校生になってからもう一度見にいくようなことがあればいいですよね。それをB.LEAGUEでも実現できればうれしいです。