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『スタッツで見るBリーグ』新シーズン開幕!進化か転換か?Bリーグ各チームの戦術変更を追う

2024.10.23

見どころ・レポート

りそなグループ B.LEAGUE 2024-25がついに開幕し、3節が終了した(執筆時点)。
しかし、試合数はまだ6試合にすぎない。対戦相手やホーム・アウェーの偏りにより、信頼性の高い数値が得られているとは言い難い状況である。それでも、対戦相手に関わらず、変わらない(変えたくない)要素が存在する。それは「チームが目指すバスケットボール」である。
今回は、3ポイントや2ポイントシュートの傾向を2023-24シーズンと比較しながら分析し、各チームがどのようなバスケットボールを目指しているのかを見ていくこととする。

スタッツ紹介

・2ptA%(2ポイントシュート被試投割合):チームのシュート(フリースローになったシュートも含む)のうち、2ポイントシュートが占める割合

計算式

 

FGA = シュート本数
FTA = フリースロー本数

 

・3ptA%(3ポイントシュート被試投割合):チームのシュート(フリースローになったシュートも含む)のうち、3ポイントシュートが占める割合

計算式



 

・FTD%(フリースローポゼッション割合):チームのシュート(フリースローになったシュートも含む)のうち、フリースローが占める割合

計算式



 

2ポイントシュートが増えたチームランキング

クラブ 23-24
2ptA%
24-25
2ptA%
23-24
3ptA%
24-25
3ptA%
23-24
FTD%
24-25
FTD%

横浜BC

51.89%

58.35%

39.10%

30.29%

9.0%

11.36%

川崎

46.35%

52.71%

42.06%

36.89%

11.6%

10.40%

島根

51.47%

56.67%

38.81%

32.40%

9.7%

10.93%

三遠

47.85%

52.95%

41.01%

34.46%

11.1%

12.59%

越谷

54.10%

58.99%

32.60%

29.37%

13.3%

11.63%

滋賀

54.00%

58.04%

33.40%

33.12%

12.6%

8.84%

長崎

50.93%

54.42%

39.73%

34.07%

9.3%

11.52%

SR渋谷

54.16%

56.71%

35.22%

30.99%

10.6%

12.30%

 

最も増加したチームは横浜ビー・コルセアーズでした。これには二つの主な要因があります。
一つは、3ポイントシュートを武器にしていたエースの河村勇輝選手がNBA挑戦のために退団したことです。もう一つは、新たに就任したラッシ・トゥオビHCが横浜BCの戦略としてカッティングバスケット(スクリーンプレーや駆け引きによってゴール下へ飛び込むプレーを中心としたオフェンス)を採用したことです。

長崎やSR渋谷は2ptA%の増加こそ少なく見えますが、FTD%(フリースロー試投率)が上昇しています。一般的に、フリースローは2ポイントシュートの際に獲得することが多いため、この数字はペイントエリアへの攻撃が増えていることを示しています。

 

3ポイントシュートが増えたチームランキング

クラブ 23-24
2ptA%
24-25
2ptA%
23-24
3ptA%
24-25
3ptA%
23-24
FTD%
24-25
FTD%

大阪

57.64%

50.69%

31.28%

39.38%

11.1%

9.92%

千葉J

49.56%

40.43%

40.93%

47.94%

9.5%

11.63%

茨城

50.93%

45.25%

38.19%

44.14%

10.9%

10.61%

京都

54.02%

47.29%

35.50%

41.17%

10.5%

11.54%

仙台

58.21%

55.62%

31.31%

36.74%

10.5%

7.64%

広島

51.48%

51.14%

38.50%

42.75%

10.0%

6.11%

 

実際の試投割合自体はそれほど高くないものの、2ポイントシュート主体の戦略から大きく転換したことが分かるのは、大阪エヴェッサと仙台89ERSの2チーム。これは3ポイントシュートを得意とする選手の加入により、昨シーズンとは異なる戦略で戦っていることを示している。

注目すべきチームは、昨シーズンもリーグで5番目に3ポイントシュート試投割合が高かったにもかかわらず、さらに上昇している千葉ジェッツである。千葉ジェッツについては、FTD%(フリースロー試投率)も増加しているため、先述の通りペイントエリアへの攻撃が成功しており、(最も得点効率が高い)フリースローを獲得できている。

2ポイントシュート、3ポイントシュートともに変化が少ないチーム

クラブ 23-24
2ptA%
24-25
2ptA%
23-24
3ptA%
24-25
3ptA%
23-24
FTD%
24-25
FTD%

群馬

55.53%

49.97%

32.93%

36.29%

11.5%

13.75%

名古屋D

51.59%

46.76%

38.82%

41.63%

9.6%

11.61%

三河

51.24%

47.98%

38.29%

40.54%

10.5%

11.47%

秋田

50.35%

46.26%

40.24%

42.46%

9.4%

11.28%

琉球

51.10%

46.63%

37.98%

39.57%

10.9%

13.79%

北海道

55.64%

55.70%

34.90%

36.28%

9.5%

8.02%

FE名古屋

57.22%

57.12%

33.45%

34.81%

9.3%

8.07%

佐賀

50.36%

50.37%

38.43%

37.56%

11.2%

12.08%

宇都宮

46.29%

44.27%

44.77%

43.25%

8.9%

12.47%

A東京

56.90%

58.35%

31.42%

28.46%

11.7%

13.19%

 

群馬クレインサンダーズ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、シーホース三河、琉球ゴールデンキングスについては、2ptA%(2ポイント試投率)が下降しているように見えるが、FTD%(フリースロー試投率)を考慮するとそれほど戦略上の変化は見られない。

偶然の可能性も否定できないが、群馬・宇都宮を除く8チームはヘッドコーチが昨シーズンから継続となっており、試投にあまり変化が見られない傾向があった。

同じ2ポイントシュートであっても、速攻での2ポイントシュートか、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスによる2ポイントシュートかなど、シチュエーションによって違いが見られる。そのため、このスタッツだけでは戦略を完全に把握することはできない。しかし、少なくともいつも応援しているチームの方向性や目指すバスケットボールがわかるだけでも、普段の応援に少し深みを持たせられるのではないだろうか。


文=しんたろう 監修=バスケット・カウント

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