【EASL】広島ドラゴンフライズ、新たな頂点への挑戦(EASLグループA展望)
「てっぺんを取りにいく」、広島・朝山正悟HCが明言
千葉ジェッツが初代王者になってから7ヶ月。東アジアスーパーリーグ「EASL」が10月2日から開幕する。前回は日本、韓国、台湾、フィリピンのトップ8で争ったが、今回は10チームに拡大。EASL所属として香港とマカオのクラブも出場し、東アジアNo.1を競い合う。グループAに入った広島ドラゴンフライズ(B.LEAGUE優勝)がどんな相手と戦うのかを展望していく。
グループAに入ったのは、広島、韓国の水原KTソニックブーム(KBL準優勝)、台湾の桃園パウイアンパイロッツ(P.LEAGUE+準優勝)、フィリピンのサンミゲル・ビアメン(PBAガバナーズカップ優勝)、香港イースタン(香港特別行政区A1優勝)の5チーム。変則ラウンドロビン形式でグループラウンドでは6試合を戦い、ファイナル4を目指す。
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広島:https://hiroshimadragonflies.com/news/detail/id=19847
琉球:https://goldenkings.jp/news/detail/id=20542
日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24で琉球ゴールデンキングスを下して初優勝を果たした広島は、昨シーズンの主力のほとんどと継続契約し、上積みも期待できる編成となっている。最も注目されるのは、昨季で現役を引退し、カイル・ミリング(広島HC→群馬HC)の後を受ける朝山正悟HCの手腕だろう。
EASLについて朝山HCは「スケジュール的にはかなりタフになりますし、1シーズンの試合数や移動距離も増えるので、選手への負担についてはいろいろな部分を考えて進めていきます。せっかく国際大会を経験できるので、大きな成長につなげていかなければなりません。単なる1試合ではなく、EASLにもBリーグにも全力で向き合って、てっぺんを取りにいく。そのチャンスがあると思って向き合っていきたいです」と当然優勝を狙うと意気込んでいる。
EASLの外国籍選手登録枠は2枠。Bリーグよりも1枠少ない分、外国籍選手の負担が増えると予想される。それをどうマネージするか? 6試合のリーグ戦をBリーグのレギュラーシーズンと並行して戦い抜くためには、日本人ビッグマンの市川真人や帰化選手の河田チリジの起用法、スモールラインナップで今までとは一味違うトランジションの速いバスケを展開することも不可欠になりそうだ。
その広島が10月16日[会場:エフピコアリーナふくやま(福山市総合体育館)]と10月30日(敵地)で対戦するのが香港イースタン。今年4月にはバスケットボールチャンピオンズリーグ・アジア(以降BCLアジア)予選に出場し、ピックプレーを多用するハーフコートバスケ中心のプレーを披露した。同大会でチームを引っ張ったのは、平均16.0得点、11.2リバウンドをマークした207cmのセンター、クリス・マクラフリン。さらに高い身体能力を持つアメリカ人SFキャメロン・クラークが新加入しており、広島にとって厄介な選手になりそうだ。
敵地での水原KTソニックブーム戦は激戦の予感
広島の3戦目は、12月4日(敵地)の水原KTソニックブーム戦。注目したいのは韓国代表でもお馴染みのホ・フンだ。今オフKBL史上最高額と言われる7億ウォン(約7, 600万円)で契約を更新したホは、いわゆるスコアリングPG。ドライブから得点でき、シュートレンジも広く悪い体勢からでも決め切る力を持っている。また韓国代表のセンターでダブルダブルを期待できるハ・ユンギ(204cm)も警戒したい選手だ。ホはKBLのシーズンに向けて「優勝を狙える選手、スタッフが揃っている」と自信あるコメントをしている。しかし、昨季に平均25.6得点をマークしてリーグ得点王になったパリス・バス(元NBAサンズ、現中国・浙江)の流出は痛いはず。新加入のアメリカ人インサイド、ラショーン・ハモンズは開幕戦で39得点、14リバウンドの活躍を見せたが、これを継続できるか注目である。いずれにせよ、敵地での水原KT戦は激戦の予感がする。ちなみに、広島はBCLアジア2024で、水原KTを下した釜山KCCイージス(昨季のKBL王者、グループB所属)に107-77で勝利している。
そしてクリスマスゲームとなる12月25日(敵地)と2025年1月22日[会場:エフピコアリーナふくやま(福山市総合体育館)]では、桃園パウイアンパイロッツと対戦する。主軸と見られるのは昨季レギュラーシーズン1位に導き、シーズンMVPを獲得したチュン・シャン・ルー、そしてダブルダブルを期待できる元NBAホーネッツのトレベオン・グラハムの2人。しかし、レギュラーシーズンで21.9得点、13.2リバウンドをマークして最優秀外国籍選手賞を受賞したジェイソン・ウォッシュバーンは、グループBに入ったニュータイペイキングスに移籍してしまった。水原KT同様に新たな形を見出すことになるだけに、付け入る隙が十分にありそうだ。
最後に紹介するのが、2025年1月8日に広島サンプラザで対戦するサンミゲル・ビアメン。1975年設立でPBA最多となる通算1200勝を達成しているビアメンは、コミッショナーズカップでは29度の優勝を誇る。チーム最大のスターは、フィリピン代表で211cmというサイズがあるジューン・マー・ファヤルド。8度のMVP受賞を誇るレジェンドは3Pシュートこそないものの、得点、リバウンドでダブルダブルできる選手だ。特にオフェンス・リバウンドを得意とするだけに、ボックスアウトを徹底して調子に乗せたくない。さらに開幕戦で34得点の爆発を見せたアメリカ人PFのE.J.アノシケ、3Pシュートを得意とするマルシオ・ラシター、昨季のコミッショナーズカップファイナルMVPであるCJ.ペレスという有力選手がいて、経験豊富な司令塔クリス・ロスがゲームをコントロールする。警戒すべきラインナップではあるが、「平均年齢が32.5歳で最年長チームとなる」とEASLは紹介している。広島としてはテンポをコントロールしながら、ビアメンの体力を削っていきたいところだ。
「てっぺんを取りにいく」という朝山HCの言葉を実現するために、まずはグループラウンドでトップ2に入ることが条件となる。2023-24シーズン、「下剋上じゃけぇ!」を合言葉に頂点に登り詰めた広島が、Bリーグ代表としてどんな戦いを見せるのか。その戦いを注目していきたい。
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