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東地区はアルティーリ千葉が軸、西地区はさらに激化か!?【Bリーグ開幕展望/B2編】

2024.09.26

見どころ・レポート

B1に自動昇格となる2枚の切符※1を得るのはどこか? りそなグループ B.LEAGUE 2024-25シーズンB2リーグ戦は10月5日に火蓋を切る。どのクラブが優位にシーズンを進めていくか。今季のB2の展望をお届けしていく。
※1:昇格するにはB1ライセンスを有し、年間最終順位4位以内に入ることが条件となる


*東地区はアルティーリ千葉が軸となる

※2023-24シーズンの写真を使用


B2東地区は、昨季B2の歴代最高勝率を更新する54勝6敗(勝率.933)でB2東地区の連覇を達成したアルティーリ千葉が、シーズンの流れを語る上では軸と言うべきである。しかし彼らをフロントランナーと見るべきではないだろう。コンディションさえうまくコントロールできればどのチームにもチャンスがあり、相当な混戦になるだろう。


新生青森ワッツ、TOHOKU CUP3位を弾みにして開幕へ

青森ワッツは、TOHOKU CUPをB2勢の3チーム中最高位となる3位で終えた。既存戦力が少なく連係も不十分な中で戦った2試合では目指す速い展開はできず、平均得点は62.5だったが、一方で平均失点は64.5と抑えた。3位決定戦では、練習生からロスター入りした地元青森県出身のガード大髙祐哉が3Pシュート3本をヒットするなど、明るい材料もある。昨季のB3リバウンド王ジョシュ・マーティンら頼もしい新戦力と昨季B2アシスト王に輝いた池田祐一らが十分機能すれば、注目すべき存在となるだろう。


もはやアンダードッグではない山形ワイヴァンズ

TOHOKU CUPを4位で終えた山形は、村上慎也、岡島和真、ジェームズ・ベルら、3Pシュートを武器に昨季B2で4位躍進を支えたメンバー9人に、ブラジル代表歴を持つストレッチビッグのレオナルド・デメトリオ、身長187cmのビッグガード俊野達彦らが加わったロスター。タフさも一段高まった印象だ。この大会ではB1の仙台89ERSに72-81と食い下がる姿も見せている(8月31日にも67-77と接戦を演じた)。気迫のこもった戦いぶりは飛躍を予感させるものと言って良いだろう。


緊急事態を乗り越えて開幕に向かう福島ファイヤーボンズ

開幕を前に難局に立ち向かっているのが福島だ。ロスターを半分入れ替える補強策の中で契約したスモールフォワードのアンソニー・ポライトが、来日前に前十字靭帯を断裂して契約解除となってしまった。9月に入って同ポジションのエルジン・クックを獲得したが、チーム作りは時間との競争となった。TOHOKU CUPは5位。最終日に林翔太郎が3Pシュート7本成功を含む27得点と爆発し、根性を見せたことは好材料だ。強い気持ちは開幕後にきっと生きてくるだろう。


悲願のB1昇格を狙い三度立ち上がるアルティーリ千葉

“3度目の正直”で悲願のB1昇格を狙うA千葉は、既存戦力をほぼ残し、昨季ベスト3P成功率賞に輝いた大塚裕土が3季連続でキャプテンを務める。新戦力は昨季のライバル越谷アルファーズでキャプテンを務めた長谷川智也と、神戸ストークスで活躍したビッグマン、トレイ・ポーター。アンドレ・レマニスHCのスタイルを高い完成度で遂行できそうなロスターだ。プレシーズンゲームではB1のレバンガ北海道から勝利を挙げ、ポテンシャルの高さを感じさせている。


戦力十分の富山グラウジーズ、キーマンはゴメスHCか

最短でのB1復帰を目指す富山は、昨季滋賀レイクスをB1昇格に導いたダビー・ゴメスを指揮官に迎えた。ロスターは水戸健史、宇都直輝というおなじみのベテランら既存戦力に、昨季のB2得点王ユージーン・フェルプス、熊本ヴォルターズのプレーオフ(※2)進出に大きく貢献したアーロン・ホワイトの外国籍コンビや、B1での経験が豊富な藤永佳昭、トーマス・ケネディが加わる。システム再構築から始まる今季、ゴメスHCがどんな采配でチームを導くかその手腕に注目したい。


福井ブローウィンズはB2でも旋風を巻き起こすか?

昨季B3でレギュラーシーズン46勝4敗(勝率.920)を残し、プレーオフでは一度も負けずB2昇格を決めた福井。新参チームとはいえ戦力、意欲、勢いのいずれも他チームに引けはとらない。B1経験者がずらりとならぶロスターには、伊佐勉HCの下で1シーズン戦った経験値がそのまま蓄積されている。新戦力のライアン・ケリーと西野曜もサンロッカーズ渋谷時代に伊佐HCの下でプレーした経験がある。上位とも互角に渡り合う力は十分にあるだろう。


スター軍団となった信州ブレイブウォリアーズ

悔しいB2降格を経て、信州は決意みなぎる補強策に出た。新戦力には昨季のB1得点王ペリン・ビュフォードや、今夏のパリ2024オリンピックで脚光を浴びた渡邉飛勇ら話題のスターに加え、2022年のB2MVPテレンス・ウッドベリー、日本代表歴のあるディフェンシブ・ストッパーのアキ・チェンバース、今後が楽しみな身長206cmのビッグマン狩野富成が名を連ねる。勝久マイケルHCの下、彼らが既存戦力とうまく融合できれば、B1で戦った昨季をしのぐ力も出せそうだ。



*鹿児島が加わり、激化しそうな西地区の戦い

※2023-24シーズンの写真を使用



B2西地区は昨季と同じ6チームに、B3から昇格した鹿児島レブナイズを加えた7チーム構成。しかし、各チームで主力級のタレントが動き、4チームでヘッドコーチが変わっているので、昨季の成績や順位は参考になりそうにない。


地元静岡出身スター増田啓介が加入、ベルテックス静岡

B2昇格直後の昨季、プレーオフ(※2)進出を果たした静岡は、新指揮官に森高大を迎え、B1川崎ブレイブサンダースから地元静岡出身の若手スター、増田啓介を獲得するなど、実のある補強をした。新たなシステムの中で選手たちが噛み合うまでに時間を要しそうだが、開幕からの2節は昨季3位決定戦に進出した山形ワイヴァンズとアルティーリ千葉という、昨季の既存戦力を土台とする完成度の高いチーム。まずはこの序盤戦の戦いぶりに注目だ。


神戸ストークスは既存戦力の土台に元NBAマッキニーらが加入

コーチ交代を経た4チームの中で神戸は、新任のプレドラッグ・クルニッチHCが既存戦力を土台とするロスターを率いるという点でユニークな存在だ。日本人選手は、引退した松崎賢人と杉山裕介(現B3横浜EX)に代わり山本楓己が加わったのみ。新外国籍としてはアルフォンゾ・マッキニーと一度契約を交わしたが、メディカルチェックにより契約解除に。それでも、すぐに確かなシュート力を持つ元NBAのチョンディー・ブラウンジュニアを獲得できた。今季初来日の外国籍選手を道原紀晃や谷直樹を中心にうまくフィットさせられれば、土台があるだけに上位進出のポテンシャルも十分だ。


バンビシャス奈良の「CHARGE UP」に欠かせない“ロケットスタート”

小野秀二HCが2季目を迎える奈良。昨季は小野HC就任直後だった上に故障者も出て開幕9連敗と苦しんだ。またリーグで5番目に少ない平均77.7失点に対し得点がリーグ12位(平均74.7)とバランスが今ひとつだった。林瑛司、シャキール・ハインズら既存の核に加え、練習生を経て加入するイデムディア オサセレや元NBAのスティーブン・ジマーマンら新戦力のパンチ力に期待がかかる。好スタートを切ってスローガンである「CHARGE UP」を体現していきたい。


シュート力改善で上位進出を狙う愛媛オレンジバイキングス

愛媛は、昨季B2で得点王とリバウンド王に輝いたユージーン・フェルプス(富山)が移籍したが、補強したのは青木龍史、大友隆太郎、ジョナサン・スターク、ケニー・ローソン・ジュニアといった3Pエリアからのシュート力を備えたタレント。このロスター変更で、昨季リーグ10位だったオフェンス力(平均79.2得点)が改善できれば、辛くも降格を逃れる12位だった昨季の状況から脱却し、飛躍を期待することは十分可能だ。


序盤の九州ダービーで勢いに乗りたいライジングゼファー福岡

浜口炎HC体制となった福岡は橋本晃佑、中村太地、西川貴之、ジョシュア・スミスと昨季のB1選手4人を獲得した。かつ、昨季B2プレーオフ(※2)MVPに輝く活躍で滋賀レイクスのB1昇格・B2優勝に大きく貢献したジャスティン・バーレルも加わっており、インサイド、アウトサイドともアップグレードを期待できる。開幕節からの2節は九州勢の鹿児島と熊本が相手。良い結果を残して“九州最強宣言”ができれば、その後の弾みとなるに違いない。


専用練習場も始動し、飛躍が期待される熊本ヴォルターズ

熊本はアメリカの学生バスケットボール界で豊富な経験を持つジェフリー・ヒロナカを新指揮官に迎え、昨季までチームを率いた遠山向人がアシスタントコーチでサポートする体制。ロスターには、元NBAガードのキヘイ・クラークや、渡米してユニークな経験を積んだ田中力など注目の新戦力が加わった。専用練習場「VOLTERS GX(ヴォルターズ ジーエックス)」始動など飛躍に向けた体制づくりも加速中。さらなる成長が期待できそうだ。


鹿児島レブナイズはB2昇格の成功路線を継続する方向性

鹿児島は、就任初年度でB2昇格と結果を出したフェルナンド・カレロ・ヒルHCが引き続き指揮を執る。戦力的にも藤本巧太、アンソニー・ゲインズ・ジュニア、カイル・リチャードソンら既存戦力に兒玉貴通らを加え、成功路線をより堅固にしていく方向性だ。今季はその兒玉の古巣・福岡との九州ダービーで始まり、第2節には昨季1度も勝てなかった福井とのB3 PLAYOFFS FINALS 2023-24ぶりの対戦が控えている。この対戦が今後の試金石となるのではないだろうか。



※2:日本生命 B2 PLAYOFFS 2023-24

文=月刊バスケットボール編集部

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