『スタッツで見るBリーグ』“裏”4Factorsでディフェンスを数値化!
ディフェンス力で上位をキープするA東京【(C) B.LEAGUE】
文=しんたろう
昨年12月10日に公開された『スタッツで見るBリーグ』好調を維持するB1上位チームを4Factors分析!にて、勝利に必要な4つの要素「4Factors」を紹介した。それらは主にオフェンスのスタッツであったため、今回は「対戦した相手の」4Factorsを算出した“裏”4Factorsを使って、B1に所属するチームのディフェンス力を見てみよう。
“裏”4factorsとは?
・EFG%(実質シュート決定率)/OPPEFG%(対戦相手の実質シュート決定率)
勝利のために最も重要と言われているスタッツ。Bリーグ公式用語集によると、3Pシュートに比重(1.5倍)をかけて補正したフィールドゴール成功率。
・TOV%(ターンオーバー率)/OPPTOV%(対戦相手のターンオーバー率)
シュートを打てずに攻撃が終わってしまうことは最も避けたい結果だ。ターンオーバーの割合が高くなってしまうとシュートが打てずに相手に攻撃権を渡してしまうことになるため、TOV%は勝敗に大きく関わるスタッツである。計算式は「ターンオーバー数/自チームの攻撃回数」で求められる。
・ORB%(オフェンスリバウンド獲得率)/DRB%(ディフェンスリバウンド獲得率)
バスケットボールという競技において、シュートを打った本数が勝敗に直結することがある。シュート本数を増やすプレイの一つがオフェンスリバウンドである。ORB%の数値は、自チームの全オフェンスリバウンドシチュエーションにおける実際の獲得本数で計測できる。反対にディフェンスリバウンドは、相手のシュート本数を減らすことが出来るプレイだ。
・FTR(フリースロー獲得率)/OPPFTR(対戦相手のフリースロー獲得率)
得点する確率が最も高いフリースローも、4つの指標に含まれる。決定率ではなく、「フリースローを獲得したこと」を評価している点は興味深く、相手のファウルトラブルなど付加的な要因も考えられている。
これらの4指標を見ることで、ディフェンスで勝利しているチームを見つけることができる。前置きが長くなってしまったが、早速ランキングを見てみよう。
失点ランキング
まずは、最も分かりやすいディフェンススタッツである「失点数」から見ていこう(Bリーグ公式サイト「OPPPTSPG」参照)。このスタッツは低い数値の方がポジティブであるため、上位に表現している。
順位 | チーム | OPPPTSPG |
1位 | A東京 | 65.4 |
2位 | 宇都宮 | 68.9 |
3位 | FE名古屋 | 74.6 |
4位 | 秋田 | 75.3 |
5位 | 広島 | 75.5 |
6位 | 川崎 | 76.0 |
7位 | 三河 | 76.4 |
7位 | 佐賀 | 76.4 |
9位 | SR渋谷 | 77.1 |
10位 | 琉球 | 77.2 |
11位 | 島根 | 77.4 |
12位 | 大阪 | 78.7 |
13位 | 三遠 | 79.0 |
13位 | 名古屋D | 79.0 |
15位 | 群馬 | 79.5 |
16位 | 仙台 | 80.6 |
17位 | 横浜BC | 80.9 |
18位 | 北海道 | 81.2 |
19位 | 千葉J | 83.4 |
19位 | 長崎 | 83.4 |
21位 | 京都 | 83.7 |
22位 | 信州 | 84.5 |
23位 | 茨城 | 85.9 |
24位 | 富山 | 87.1 |
【(C) B.LEAGUE】
このスタッツを基準に以下のスタッツランキングを見ていこう。
OPPEFG%ランキング
順位 | チーム | OPPEFG% |
1位 | A東京 | 45.19% |
2位 | 秋田 | 47.25% |
3位 | 宇都宮 | 47.41% |
4位 | FE名古屋 | 47.94% |
5位 | 三遠 | 48.19% |
6位 | 佐賀 | 48.20% |
7位 | 三河 | 48.77% |
8位 | 広島 | 49.73% |
9位 | 名古屋D | 49.82% |
10位 | 群馬 | 50.14% |
11位 | 島根 | 50.34% |
12位 | 大阪 | 50.89% |
13位 | 仙台 | 50.96% |
14位 | 川崎 | 51.20% |
15位 | 琉球 | 51.39% |
16位 | 長崎 | 51.65% |
17位 | 横浜BC | 52.72% |
18位 | 千葉J | 52.84% |
19位 | 京都 | 53.06% |
20位 | 信州 | 53.41% |
21位 | 北海道 | 53.65% |
22位 | SR渋谷 | 53.72% |
23位 | 茨城 | 54.38% |
24位 | 富山 | 55.20% |
リーグ平均 | 50.75% |
※ネガティブなスタッツであるため、数値が小さいチームが上位となっている【(C) B.LEAGUE】
失点ランキング4強のA東京・宇都宮・FE名古屋・秋田は順位の変動こそあるものの4強を維持。気になるチームは三遠と川崎である。三遠は相手のショットを5番目に落とさせているにもかかわらず、失点ランキングは中位。反対に川崎は相手のシュート決定率はリーグ中位だが、失点ランキングはリーグ6位と好成績を残している。バスケットボールという競技特性上、相手のシュート決定率が失点の大小に直結するはずだが、この2チームは若干矛盾している。
OPPTOV%ランキング
順位 | チーム | OPPTOV% |
1位 | FE名古屋 | 20.1% |
2位 | 宇都宮 | 19.3% |
3位 | 群馬 | 19.0% |
4位 | 川崎 | 18.7% |
4位 | 長崎 | 18.7% |
6位 | A東京 | 18.3% |
6位 | 千葉J | 18.3% |
8位 | 大阪 | 18.0% |
9位 | SR渋谷 | 17.7% |
10位 | 北海道 | 17.5% |
11位 | 三河 | 17.4% |
12位 | 仙台 | 17.2% |
13位 | 佐賀 | 16.9% |
14位 | 広島 | 16.8% |
14位 | 秋田 | 16.8% |
16位 | 三遠 | 16.6% |
17位 | 信州 | 16.4% |
18位 | 横浜BC | 16.3% |
19位 | 名古屋D | 16.1% |
19位 | 島根 | 16.1% |
21位 | 茨城 | 15.0% |
22位 | 琉球 | 14.8% |
23位 | 富山 | 14.3% |
24位 | 京都 | 13.9% |
リーグ平均 | 17.10% |
※このスタッツは高い数値の方がポジティブであるため、上位として表現している 【(C) B.LEAGUE】
FE名古屋が20%台という高い数値で堂々の1位。12節終了時点でのスティールランキングTOP10に、ジェレミー・ジョーンズと川嶋勇人の2名がランクインしている。FE名古屋と対戦するチームは攻撃5回につき1回はターンオーバーをさせられてしまう計算だ。また、失点ランキングでは15位の群馬が3位と好位置につけている。
DRB%ランキング
順位 | チーム | DRB% |
1位 | A東京 | 74.33% |
2位 | 川崎 | 72.91% |
3位 | 仙台 | 72.80% |
4位 | 琉球 | 72.62% |
5位 | 北海道 | 72.49% |
6位 | 三河 | 71.29% |
7位 | 宇都宮 | 71.14% |
8位 | 佐賀 | 70.82% |
9位 | 名古屋D | 70.76% |
10位 | 茨城 | 70.52% |
11位 | 三遠 | 70.45% |
12位 | 島根 | 70.22% |
13位 | 大阪 | 69.65% |
14位 | 富山 | 69.59% |
15位 | 千葉J | 69.14% |
16位 | 長崎 | 69.06% |
17位 | 横浜BC | 68.91% |
18位 | 京都 | 68.62% |
19位 | 秋田 | 68.54% |
20位 | SR渋谷 | 67.86% |
21位 | 信州 | 67.61% |
22位 | 群馬 | 66.56% |
23位 | FE名古屋 | 65.68% |
24位 | 広島 | 65.43% |
リーグ平均 | 69.88% |
※このスタッツは高い数値の方がポジティブであるため、上位として表現している 【(C) B.LEAGUE】
【(C) B.LEAGUE】
失点ランキングTOP4のうち、A東京のみがランクイン。秋田とFE名古屋についてはリーグ下位に沈んでいる。「リバウンドを制するものはゲームを制する」という有名な格言が存在するが、現時点では失点に直接関係が無い可能性が示唆される。
OPPFTRランキング
順位 | チーム | OPPFTR |
1位 | 川崎 | 21.60% |
2位 | 宇都宮 | 22.05% |
3位 | 茨城 | 22.63% |
4位 | 広島 | 22.88% |
5位 | 三遠 | 23.77% |
6位 | 京都 | 23.81% |
7位 | 三河 | 24.51% |
8位 | 大阪 | 24.81% |
9位 | 島根 | 25.38% |
10位 | 横浜BC | 25.63% |
11位 | 琉球 | 25.84% |
12位 | FE名古屋 | 26.14% |
13位 | 群馬 | 27.33% |
14位 | A東京 | 27.68% |
15位 | 名古屋D | 27.89% |
16位 | 千葉J | 28.06% |
17位 | 富山 | 28.26% |
18位 | 信州 | 28.53% |
19位 | SR渋谷 | 28.68% |
20位 | 仙台 | 30.51% |
21位 | 佐賀 | 30.88% |
22位 | 秋田 | 31.60% |
23位 | 長崎 | 32.08% |
24位 | 北海道 | 35.86% |
リーグ平均 | 26.93% |
※このスタッツは低い数値の方がポジティブであるため、上位として表現している 【(C) B.LEAGUE】
【(C) B.LEAGUE】
川崎が1位、宇都宮が2位の結果となった。このスタッツはA東京が唯一平均を下回ったスタッツである。フリースローを獲得しやすいペイントエリアからのショットを増やし、ファウルを得る事がA東京に対する戦略の一つになりそうだ。
ここまでランキングを見てきたが、OPPEFG%が低かった川崎はその他のスタッツがTOP4に入っていることから高いディフェンス能力を示している。
また『スタッツで見るBリーグ』好調を維持するB1上位チームを4Factors分析!の記事で公開した内容も併せてみると、TOP8ランクインしているスタッツが4Factorsの方が多い琉球や三遠はどちらかと言えばオフェンスで地区1位をキープしており、反対に4Factorsでは1つのスタッツしかTOP8にランクインしていなかった宇都宮は、“裏”4FactorsではすべてのスタッツがTOP8に入っていることから、ディフェンスで勝率76%を維持していることが分かる。さらに合わせて7つのスタッツでTOP8入りしているA東京は勝率1位も納得の結果であった。
宇都宮は“裏”4factorsでトップこそないものの、各項目で高い数値を記録【(C) B.LEAGUE】