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【EASL第5節】琉球ゴールデンキングス惜敗、グループラウンド突破に黄信号

2024.01.11

見どころ・レポート

【(c) East Asia Super League Limited. 】

激闘の“キングス対決”はジェレミー・リンのビッグショットで決着

琉球ゴールデンキングスが1月10日にEASLにおける今シーズン5試合目となるニュー台北キングス戦に臨み、63-67で黒星を喫した。琉球の通算成績はこれで2勝3敗。決勝トーナメント進出への道のりが厳しくなってきた。一方、勝利したニュー台北はこれで4勝0敗となり、決勝トーナメント進出を確定している。

琉球はこの試合に、外国籍枠でジャック・クーリーとヴィック・ローを登録していたが、ローは結局出場させずに40分間を戦う。フロントラインではカール・タマヨをクーリーとともにスターターで起用し、ティップオフ直後からゾーンディフェンスを敷くという戦い方。ディフェンス面ではこの戦術が奏功し、ハイスコアリングなオフェンスを得意とするニュー台北を相手に失点は抑えることができた。しかしオフェンス面で3Pショットの確率が上がらず、得点がなかなか伸びないまま前半を29-37の8点ビハインドで終える。

後半は、開始早々のジェレミー・リン(元ラプターズ)のミドルジャンパーでニュー台北が一度はリードを10点差に広げたが、琉球も今村佳太の連続3Pショットで反撃。岸本隆一、クーリー、さらにはタマヨがファウルトラブルに陥った中で、植松義也が3Pショットやブロックショットで貢献し、懸命に食らいつく。47-52の5点差で突入した最後の10分間も琉球は粘りを見せ、残り3分24秒のタマヨの3Pショットで58-57と逆転に成功。その後も最終局面まで接戦が続いた。

しかし、63-64の琉球1点ビハインドで迎えた残り26.6秒に、ジェレミー・リン(以下リン兄)が今村の厳しいチェックを受けながらトップの深い位置から放った3Pショットがゴールを射抜く。さすがはNBAで王座を獲得した男ということを再確認させるようなリン兄の一撃で2ポゼッション差に引き離したニュー台北は、そのまま逃げ切りに成功。終盤には桶谷大HCがジャッジへの抗議でベンチテクニカルを宣告されるほどの激闘だったが、琉球としては悔しい結果だ。EASLのレギュラーシーズンにおけるアウェイゲーム3試合はすべて黒星に終わってしまった。

ただ、フロントラインで渡邉飛勇も登録外だったこの試合は、内容としては琉球の健闘が際立つものでもあった。この試合前まで、EASLでの3試合で平均92得点を記録していたニュー台北を67点に抑え、中でも平均20得点、3P成功率42.9%だったリン兄を15得点、3Pショット6本中成功1本のみに抑えたディフェンスは評価できる。最後のビッグショットは、成功させたリン兄を称えるべきだろう。個々のパフォーマンスでも、タマヨは第4Qの逆転3Pショットを含めBリーグでの自己最高を上回る16得点を奪い、ニュー台北のケニー・マニゴーと並ぶゲームハイ。ほかにも今村が13得点、岸本とクーリーも10得点と4人が2桁得点に乗せている。

琉球にとってEASLでの状況は非常に厳しくなったが、レギュラーシーズンの最後にニュー台北とのホームゲームをまだ1試合残している(1月24日@沖縄アリーナ)。決勝トーナメント進出にはグループBの2位以上になる必要があるが、その望みは絶たれていない。

最終戦で勝利して通算成績が3勝3敗となる場合には、ソウルSKナイツが残る2試合(ニュー台北と1試合、メラルコ・ボルツと1試合)をどんな形で終えるかが、琉球の運命を左右することとなる。現在2勝2敗のソウルは、琉球との直接対決で得失点差のタイブレーカーを持っている(両チームは今シーズンの2度の対戦を1勝1敗としているが、初戦で琉球が1点差で勝利、2度目でソウルが13点差で勝利しているため、ソウルが得失点差で+12となっている)。そのため、勝率で並んだままシーズンを終える場合にはソウルが上位。つまり、琉球がグループBを突破できるためには、まずニュー台北戦に勝利した上で、ソウルが最後の2試合に連敗して2勝4敗でシーズンを終えることが条件となる。

ただし、仮に琉球が最終戦にも敗れて2勝4敗でシーズンを終えることになっても、その時点でグループラウンド敗退が決まるわけではない。ソウルが残る2試合を連敗すると、現在1勝4敗のメラルコ・ボルツ(フィリピン)も2勝4敗で並ぶことになり、そうなった場合にはみつどもえの争いにタイブレーカーのレギュレーションを適用して上位チームを決める。

EASLのタイブレーカーのレギュレーションは、まず直接対決における得失点差で順位を決し、それで決まらない場合は当該チーム間での総得点、それでも決まらなければグループB全体の試合における得失点差、さらにそれでも決まらない場合はグループB全体の試合での総得点を比較する。それでも決まらない場合には、ドローにより決勝トーナメント進出チームを決めるというものだ。

しかし琉球としては、この状況は避けたいだろう。そもそも日本のチャンピオンとして、EASLを3連敗の負け越しで終えることなど受け入れがたいはずだ。沖縄アリーナでのフィナーレはプライドをかけて戦う2度目の“キングス対決”。目が離せない一戦となった。

EASL は2025年までに世界トップ3のプロバスケットボールリーグになるというビジョンを持つリーグ。第1回大会となる前回大会ではBリーグから宇都宮ブレックスと琉球が出場し、韓国、フィリピン、チャイニーズ・タイペイの優勝チームなど合計8チームが参戦。結果、安養KGC(韓国)が初代王者に輝いている。2023-24シーズンは出場8チームが2つのグループに分かれてホーム&アウェーで1回ずつ対戦(10月11日~2024年3月10日で計28試合)し、各グループ上位2チームがファイナルフォー(2024年3月8日~10日予定)に進んで優勝を決めるスケジュールで行われる。
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