大倉颯太、オールラウンドな活躍で8強に導いたウインターカップ2016
大倉は北陸学院の一員として、3年連続でウインターカップに出場【月刊バスケットボール】
12/23から始まるウインターカップ。Bリーグで活躍する選手たちの多くがウインターカップで活躍した。そこで、12月20日~29日まで、連載「Bリーグ選手のウインターカップ」を連日公開。第4回は大倉颯太選手(北陸学院高校/現:千葉ジェッツ)を特集。
※ ※ ※
現在千葉ジェッツ期待の若手ガードとして活躍中の大倉颯太。北陸学院(石川)に在籍した2015年からの3年間は毎年ウインターカップに出場した。なかでも特筆すべきなのは、2年時の第69回大会だろう。
この大会で北陸学院は2回戦から登場。県立松山工業との初戦を74-73の1点差でしのぐと、3回戦で浜松学院を75-68、準々決勝で土浦日大を80-65で破って4強入り。準決勝ではインターハイ準優勝の東山に70-89で敗れたが、大会最終日の3位決定戦で帝京長岡を59-49で下して、全国3位という好成績を手にしている。この快進撃の原動力になったのが、当時高校界きってのオールラウンダーとして高い評価を受けていた大倉だった。
「ミッション」の通称で親しまれる北陸学院は、1885年(明治18年)に金沢女学校として創設されており、教育機関としては長い歴史と伝統を持つ。しかし高校の共学化は2005年と最近のことだ。大倉自身よりも2歳年上の兄・龍之介が2013年に先に入学していたが、男子バスケットボール部は、地理公民の教諭として赴任から2年目だった濱屋史篤監督が同年に創部したばかり。2014年に布水中学校で全中優勝を成し遂げていた大倉が、県外の有力校ではなくまだ実績の少ない地元の北陸学院を選んだことに、兄の龍之介も驚いたというエピソードも様々なメディアで伝えられている。
大倉にしてみれば、北陸学院には全国制覇に成功した中学校時代のチームメイトと一緒にプレーできるという環境的な身近さがあった上、地元石川県から日本一を目指したいという思いも強かった。男子バスケットボール部の三期生として入部すると、その決断が正しかったことを証明するかのように1年時からベンチ入り。当時から駆け引きのうまさとスピードがあり、コートバランスを把握して的確な状況判断をしながらプレーメイクができた。
大倉の北陸学院入りは驚きもあったようだが、環境的な身近さや地元・石川から日本一を目指したい思いが要因だったようだ【月刊バスケットボール】
2016年のウインターカップでは、スコアラーとしてだけでなくリバウンドやディフェンスでも大いに貢献した。同年の大会は、夏にインターハイでベスト8入りを果たし、秋の国体でも石川県少年男子チームを準優勝に導いた後のこと。大倉を擁する北陸学院は上位進出を期待され注目を浴びていたが、その中で大倉は平均27.0得点、7.0リバウンド、2.0アシスト、2.2スティール、1.4ブロックとハイレベルなアベレージをたたき出した。
特に4強入りを決めた土浦日大戦では34得点、5リバウンド、3アシスト、1スティール、2ブロックとオールラウンダーの真骨頂を披露。この試合では3Pショットも8本中4本成功と高確率で、2Pショットを含めても26本中14本成功という非常に効率の良いオフェンスでチームを勝利に導いた。
母校を全国3位の座に導き、自身も大会のベスト5に名を連ねた大会を終えた翌月、大倉は左足首外側じん帯断裂という試練に見舞われる。しかし2017年秋には、再び石川県少年男子チームとして戦った国体北信越ブロック予選で新潟を相手に一人で59得点を奪い、高校バスケ界ナンバーワンプレーヤーの押しも押されもせぬ評判を確立してみせた。
ウインターカップ2017では当然、徹底的にマークされる存在として臨むこととなる。しかしそれでも大倉は止まらない。県立佐賀東を90-54で破った1回戦が24得点、8リバウンド。九州学院に88-78で勝利した2回戦が10得点、5リバウンド。ベスト8をかけて戦った福岡大大濠との3回戦は、70-76で敗れたものの、37得点&14リバウンドとダブルダブルの奮闘を見せている。
大倉は現在、千葉でプレーを続ける【(C) B.LEAGUE】
大倉が在籍した3年間のウインターカップで、北陸学院の通算成績は7勝3敗。現在までの最高成績である3位が1回にベスト16入りが2回。卒業時にまだ誕生から5年しか経っていなかったチームをけん引し、当たり前のように全国の舞台を賑わした大倉の活躍は、石川県を大いに元気づけたのではないだろうか。
文=月刊バスケットボール編集部