『スタッツで見るBリーグ』今シーズンのシュートが一番決まるチームはどこ?
文=しんたろう 監修=バスケット・カウント 写真=B.LEAGUE
昨シーズンのスタッツをもとに今シーズンの得点が多いチームを予想
バスケットボールの最も魅力的なポイントを聞かれた場合、多くの人が「得点シーン」を挙げるのではないだろうか。得点シーンが多ければ、それに比例して盛り上がる瞬間も多くなるはず。得点を取り合うバスケットボールにおいて、競技としても、エンターテインメントとしても、得点こそ重要な要素であると言えるだろう。
そこで、FG%(フィールドゴール成功率)というスタッツを使い、昨シーズンの各選手のスタッツデータから間もなく開幕する2023-24シーズンにおいて得点する可能性が高いチームはどこか予想してみよう。
FG%とは試合中に放ったシュート(これをフィールドゴールと呼ぶ)が何%の確率で入ったのかを計測するスタッツで、シュートが入った本数 (FGM)を、シュートを打った本数 (FGA)で割ることで導き出すことができる。
ランキングの計算方法
Bリーグ公式スタッツから昨シーズンのFGM、FGAを取得し、今シーズンのチーム編成するごとに選手を振り分け、その選手たちのスタッツを合計してランキングを作成している。
※今季からBリーグに所属する選手は昨季所属していたチームでのスタッツを元に計算している。
※昨季学生であった選手は特別指定選手を除き計算に含まれていない
※執筆時にインジュアリーリストに掲載されている選手は合流時期が未定であるため計算に含まれていない
早速、ランキングを見てみよう。
順位 | チーム | 予測FGM | 予測FGA | 予測FG% |
---|---|---|---|---|
1 |
広島ドラゴンフライズ |
1655 |
3395 |
48.73% |
2 |
大阪エヴェッサ |
1708 |
3598 |
47.46% |
3 |
島根スサノオマジック |
1935 |
4122 |
46.94% |
4 |
群馬クレインサンダーズ |
1975 |
4232 |
46.67% |
5 |
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ |
1893 |
4063 |
46.58% |
6 |
千葉ジェッツ |
1600 |
3453 |
46.33% |
7 |
長崎ヴェルカ |
1792 |
3870 |
46.30% |
8 |
京都ハンナリーズ |
1921 |
4171 |
46.05% |
9 |
川崎ブレイブサンダース |
1784.10 |
3920.40 |
45.51% |
10 |
シーホース三河 |
2049 |
4536 |
45.16% |
11 |
宇都宮ブレックス |
1832 |
4058 |
45.15% |
12 |
アルバルク東京 |
1885 |
4212 |
44.75% |
13 |
秋田ノーザンハピネッツ |
1732 |
3888 |
44.54% |
14 |
佐賀バルーナーズ |
1717 |
3861 |
44.46% |
15 |
サンロッカーズ渋谷 |
1962 |
4413 |
44.45% |
16 |
三遠ネオフェニックス |
1674 |
3772 |
44.36% |
17 |
琉球ゴールデンキングス |
1841 |
4157 |
44.29% |
18 |
レバンガ北海道 |
1368 |
3130 |
43.72% |
19 |
茨城ロボッツ |
1504 |
3459 |
43.48% |
20 |
横浜ビー・コルセアーズ |
1853 |
4282 |
43.28% |
21 |
仙台89ERS |
1338 |
3168 |
42.22% |
22 |
ファイティングイーグルス名古屋 |
1489 |
3541 |
42.04% |
23 |
富山グラウジーズ |
1061 |
2578 |
41.16% |
24 |
信州ブレイブウォリアーズ |
1221 |
3088 |
39.52% |
おめでとう、今季もっとも得点を期待できるチームは広島ドラゴンフライズだ!……と言いたいところだが、さすがにこの結果だけで決めるのは早計だということはドラフラブースターの皆様もお分かりのことだろう。
このスタッツで最も気をつけるポイントは、「3ポイントシュート」の存在だ。3ポイントはゴールまでの距離が遠く、難しい(決定率が低い)シュートである代わりに、3点が加点されるハイリスク・ハイリターンなシュートである。つまり、戦略的に3ポイントを多く打つチームや選手が多く所属しているチームは得点を獲得しているにもかかわらず、FG%は低くなってしまうため、この数値で単純に比較することは難しい。
ではここから一歩先に進み、得点に繋がったシュートの決定率を表すスタッツ(eFG%)について見ていこう。eFG%(実質シュート決定率)とは2ポイントシュート1本よりも3ポイントシュート1本の方が1.5倍の価値があることを考慮して、再計算したシュート決定率のことで、このようなシンプルな計算式で求めることができる。 (2FGM + 1.5 × 3FGM) ÷ FGA × 100 ※2FGM:2ポイントシュートが入った本数 ※3FGM:3ポイントシュートが入った本数
こちらを用いて先ほどのランキングを再度計算してみよう。
▼実質シュート決定率(eFG%) | ▼フィールドゴール成功率(FG%) | ||||||
順位 | チーム | 予測eFG% | 順位 | チーム | 予測FG% | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
△ |
1 |
島根 |
54.85% |
1 |
広島 |
48.73% |
|
▼ |
2 |
広島 |
54.82% |
2 |
大阪 |
47.46% |
|
▼ |
3 |
大阪 |
54.69% |
3 |
島根 |
46.94% |
|
△ |
4 |
川崎 |
54.03% |
4 |
群馬 |
46.67% |
|
△ |
5 |
千葉J |
54.01% |
5 |
名古屋D |
46.58% |
|
▼ |
6 |
名古屋D |
53.70% |
6 |
千葉J |
46.33% |
|
▼ |
7 |
長崎 |
53.49% |
7 |
長崎 |
46.30% |
|
△ |
8 |
三遠 |
52.75% |
8 |
京都 |
46.05% |
|
▼ |
9 |
群馬 |
52.70% |
9 |
川崎 |
45.51% |
|
△ |
10 |
宇都宮 |
52.59% |
10 |
三河 |
45.16% |
|
▼ |
11 |
京都 |
52.52% |
11 |
宇都宮 |
45.15% |
|
△ |
12 |
琉球 |
51.75% |
12 |
A東京 |
44.75% |
|
△ |
13 |
佐賀 |
51.43% |
13 |
秋田 |
44.54% |
|
△ |
14 |
SR渋谷 |
51.24% |
14 |
佐賀 |
44.46% |
|
△ |
15 |
富山 |
51.21% |
15 |
SR渋谷 |
44.45% |
|
▼ |
16 |
A東京 |
51.20% |
16 |
三遠 |
44.36% |
|
▼ |
17 |
三河 |
50.98% |
17 |
琉球 |
44.29% |
|
▼ |
18 |
秋田 |
50.76% |
18 |
北海道 |
43.72% |
|
- |
19 |
茨城 |
50.56% |
19 |
茨城 |
43.48% |
|
- |
20 |
横浜BC |
50.34% |
20 |
横浜BC |
43.28% |
|
△ |
21 |
信州 |
49.36% |
21 |
仙台 |
42.22% |
|
▼ |
22 |
北海道 |
48.76% |
22 |
FE名古屋 |
42.04% |
|
▼ |
23 |
FE名古屋 |
48.69% |
23 |
富山 |
41.16% |
|
▼ |
24 |
仙台 |
48.46% |
24 |
信州 |
39.52% |
FG%と比較して多くのチームのランキングが変動し、島根スサノオマジックが1位に。大きく順位を上げたチームは川崎ブレイブサンダース、三遠ネオフェニックス、琉球ゴールデンキングスとなった。これらのチームは3ポイント本数が多く、決定率も高いことが予想されるチームである。
もちろん、エース級の選手が加入したチームや、オン・ザ・コートルールがない海外リーグから移籍してきた外国籍選手が加入したチームもあり、所属選手が昨季と同様の決定率を記録できるか、シュートを打つことができるかは未知数である。その中で注目は、第7位にランクインしている長崎ヴェルカだ。昇格1年目に同じような攻撃力を発揮できるか。シーズン終了後の答え合わせが楽しみである。
文=しんたろう 監修=バスケット・カウント