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スロベニア代表ジガ・ディメッツインタビュー『ルカのマジックを楽しみに。沖縄アリーナで待っています』

2023.04.27

ワールドカップ

沖縄アリーナでプレーするスロベニア代表のディメッツにインタビュー(写真左)

 

 

スロベニア代表ジガ・ディメッツインタビュー『ルカのマジックを楽しみに。沖縄アリーナで待っています』

2022年8月、西宮ストークスに移籍しB.LEAGUEでのキャリアをスタートさせたジガ・ディメッツ。8月に開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」では、ディメッツが属するスロベニア代表が沖縄アリーナでプレーすることがすでに決まっている。今回、ディメッツにFIBAバスケワールドカップへの思い、そしてスロベニアの至宝、ルカ・ドンチッチ(NBAダラス・マーベリックス)についても話を聞くことができた。
スロベニア代表は、2021年に行われた東京2020オリンピックで、オリンピック初出場ながらベスト4に進出。男子日本代表は予選ラウンドで対戦し、大敗を喫している相手だ。チームのエースであるドンチッチについて「彼がいる時といない時でプレー全体が変わってきます」と、その存在の大きさについて口にした。間近でプレーをしてきたからこそわかるドンチッチの人物像、B.LEAGUEの選手でありながらスロベニア代表として沖縄アリーナで戦う心境をについて伺った。

 

ドンチッチは、いつどのタイミングでパスを出すかわからない選手

 

スロベニア代表の中でのディメッツ選手の役割を教えてください。
代表ではメインのセンターにマイク・トビー(FCバルセロナ)がいて、彼の次に出てくるバックアップのセンターとして出ています。プレー面でいうと、ディフェンス、リバウンドのところ。あとはスクリーン、それこそドンチッチはもちろんこと、ほかの選手にもスクリーンをかけてロールし、そこでパスをもらってチャンスがあればスコアをするような役割を主に担っています。
ナショナルチームでのキャリアも長く、チーム内ではベテランのポジションだと思います。コート外でチームを盛り上げたり、アドバイスをしたりすることはありますか?
代表活動にはもう9~10年くらい参加していて、ほとんどが昔から知っている選手同士です。所属しているチームは違えど、代表活動で定期的に会ったりはしているので、よくコミュニケーションを取ったりしています。もちろん、若手選手が入ってきたりしたら、彼らに対して色々教えています

 

ドンチッチ(写真右)がチームに加わることでチームは大きく変わるという

 

ワールドカップ予選のWindow4にドンチッチ選手が参加したことによって、チームに変化はありましたか?
やっぱりドンチッチがいるのといないのでは、プレー自体全体的に変わってきます。彼がいる時といない時でやることなど根本的な部分は同じですが、それぞれの役割が少し変わってくるっていうようなイメージになります。
ドンチッチ選手は、10代の頃からヨーロッパのビッグクラブでプレーし国内でも有名な選手だったと思います。彼とナショナルチームで一緒にプレーをするようになって、何年くらいになりますか?
初めて一緒にプレーしたのは2017年の代表活動の時です。その時はヨーロッパのチャンピオンになった年で、確か18歳か19歳だったと思います。
10代のドンチッチ選手は、どんな感じでしたか?
ほとんど変わらず、今もちょっと子どもっぽいところがあるので、そういう意味ではただただ身体が大きく強くなって、中身は全く変わらない印象です。本当に話しやすいですし、打ち解けやすい人物です。
NBAでもMVPを取るのではないかという世界でもトップオブトップの選手とプレーできることは、ディメッツ選手にとってもすごく刺激的なことですか?
やっぱり対戦相手もドンチッチを意識してくるので、その分周りが空くという意味では、一緒にプレーしているとそういうところでも違いは感じます。パスもすごく上手なので、彼にディフェンスが寄る分周りが空くので、自分たちも準備しておかないといけないんですけど、本当にいつどのタイミングでパスが来るのかわからないので、常にパスをもらう準備をしておかないとパスが取れなかったりします。
スロベニアは、東京2020オリンピックで世界中にビッグインパクトを残しました。今回のワールドカップの目標を教えてください。
前回のオリンピックで良い成績を残したので、周りもより引き締まった試合になってくると思います。自分たちの目標としては、勝てる限り、出来る限りより多くの試合に勝って、まずは次のオリンピックの出場権を獲得したいです。もちろんメダルも欲しいので、メダルも狙っていきながら戦いたいと思います。
ドンチッチは東京2020オリンピックでは八村塁とマッチアップする場面も

 

 

 

日本代表は、ハードかつスピードのあるバスケで戦いづらい印象

 

東京2020オリンピックは、ディメッツ選手にとって初めての経験でした。何か思い出に残っていることはありますか?
選手村での長い滞在期間です。他のスポーツ選手はいましたが、コロナ禍がまだ続いていた影響もあり、1つの部屋にいて外出や接触は避けていました。チームメイトと一緒の部屋で過ごして喋ったり、カードゲームをしたりとそれはそれで良い経験になりました。
開会式は出ましたか?
とりあえず長かった印象があります。3時間ぐらいはずっと待っていて、それが1番印象に残っています。でも、みんなで国旗を持ちながら、周りを歩いたりするのはすごく楽しかったし、良い経験になったのかなと思っています。
次に、ディメッツ選手のキャリアについてお伺いします。日本で今プレーをされていますが、B.LEAGUE、西宮ストークスでプレーするきっかけを教えてください。
新しい経験として日本の文化にもっと触れたい、もっと知りたいと思いましたし、その経験を家族とも一緒にしたいなっていうところが1つ。あと、B.LEAGUEもものすごくレベルが上がってきていて、かなり質の高い戦いが繰り広げられているので、西宮ストークスで一緒に戦って自分たちが望む最高の形や結果を得るために頑張りたいという思いがあり、西宮に来ました。
日本や西宮、神戸の街の印象を教えてください。
すごく大きいなと感じました。というのも、スロベニア自体が本当に小さな国なので、すごく日本は大きな国だなと思いますし、とてもきれいな国だなという印象です。日本の方たちも、ものすごく親切ですし、優しくてよく助けてくれたりとか。たとえ日本語しか喋れない方でも、どうにかして助けてくれようとしてくれる姿勢がものすごく印象に残っています。一度、駅でちょっと迷ってしまった時に、英語を喋れない方が手伝ってくれたこともあったので。あとは日本食。日本のご飯はものすごくおいしいです。
お刺身とか納豆とかも食べられますか?
納豆はまだ食べたことがないんですけど、刺身とか、それこそ寿司とかも食べました。うどんとかラーメンとかも好きですし、もともとお肉が大好きなので、牛肉が本当においしいなと感じています。そして、ピザまんにすごくハマっています(笑)。
ヨーロッパでは、ドイツやポーランドでプレーされていました。B.LEAGUEとのプレースタイルやレギュレーションの違いはありますか?
B.LEAGUEでは、2日間連続で試合があるっていうところが結構大きな違いかなと思っています。ヨーロッパにいた時は、基本的に中2日は空いてゲームがありました。レギュレーションやバスケット自体に関しては、同じFIBAのルールに則ってやっているので、違いは感じていないです。
ワールドカップの試合会場である沖縄には行ったことはありますか?
行ったことはないんですけど、彼(通訳)の出身が沖縄で、すごく良い場所だよと聞いているので楽しみです。
沖縄アリーナで行われているB.LEAGUEの試合は見たことはありますか?
一度見たことがあります。
どういう印象を持たれましたか?
すごく素敵なアリーナだなと思いました。充分な広さがあり、良いアリーナだなという印象があります。早く実際に行ってアリーナを体感したいです。
日本代表とは東京2020オリンピックで対戦しました。どんな印象ですか?
サイズがなくビッグラインナップにはならない分、ものすごくハードにプレーしていて、それでいてスピードのある速い展開のバスケをしているという印象です。戦いづらいなという印象はすごくありました。
スロベニア代表でも高さを生かしたプレーを見せるディメッツ

 

 

日本代表にはNBAプレーヤーもいますが、ほとんどはB.LEAGUEの選手です。普段B.LEAGUEで戦っている選手とは何か違う印象はありますか?
代表とB.LEAGUEのチームとではもちろん違いはあるとは思っています。というのも、ベストなメンバーを集めて戦うのが代表戦だと思うので、そういう意味では違うと思っています。ですが、実際B.LEAGUEでプレーをしてみて、そこまで大きな違いはないのかなとも感じています。
まだ組み合わせは決まっていませんが、もし日本代表と対戦することになった場合、日本でプレーするディメッツ選手が日本代表と戦うことについて感情的なものはありますか?
試合の前後には少し違うのかなと思いますけど、試合自体はそんなに変わらないと思います。夏にこっち(日本)に来たばかりなので、そこまで深く知れていない部分も結構多いですが、以前オリンピックで戦った時よりは、日本のプレーヤーがどういう風に考えているのか、どういう風にプレーをするのかがわかっていると思います。そういう意味では、以前よりもより戦いやすくなるんじゃないかなと思います。ただ、実際にやってみないと分からないので、何とも言えないです。
最後に、スロベニア代表として日本のバスケファンに向けてメッセージをお願いします。
自分たちは自分たちのできる最高のバスケをするためにしっかりと戦いますので、試合を楽しみにしている方にはぜひ観に来ていただければと思います。ルカ・ドンチッチ選手ももちろん来ます。彼のマジックは、いつも自分たちにとっても素晴らしいことを起こすきっかけになっていて、いつも予想できないようなことを起こしてくれるので、そこもぜひ楽しみに見てもらえればと思います。

 

にこやかにインタビューにこたえてくれたディメッツ

 

豪快にダンクを叩き込むディメッツ

 

頼もしい背中に魅了されるファンも多い