B.LEAGUE公認アナリストの佐々木クリス氏が解説 「『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22』はオフェンスリバウンドを制したクラブが勝ち上がる」
いよいよ5月12日にスタートする「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22」(以下チャンピオンシップ)。年間チャンピオンの座をかけた激しい戦いの火蓋を切られる。そこでB.LEAGUEアナリストの佐々木クリス氏に今シーズンを振り返ってもらうとともに、チャンピオンシップの展望を聞いた(取材日5月2日)。
「B.LEAGUE 2021-22のレギュラーシーズンを振り返ると、B1・西地区を制した琉球ゴールデンキングスの強さが際立ちました。開幕直後にキャプテンの田代直希がケガで離脱、その他の主力選手も離脱するなどシーズンを通じて順風満帆であったわけではありません。それでも、持ち前の堅固なディフェンスを軸にいち早くチャンピオンシップの出場を決め、さらに地区優勝も手にしました。琉球は昨シーズンのB.LEAGUE SEMIFINALS 2020-21で千葉ジェッツに惜しくも敗れましたが、コー・フリッピン(千葉ジェッツから移籍)とアレン・ダーラム(新潟アルビレックスBBから移籍)の新戦力がフィットして、チーム力もアップ。初のB.LEAGUE制覇を目指すチャンピオンシップに臨むことになります。
琉球の属する西地区からは島根スサノオマジック、名古屋ダイヤモンドドルフィンズがチャンピオンシップ進出を決めています。この2クラブは琉球とは対照的に強力なオフェンスで勝ち上がった印象を持つかもしれませんが、私が注目するのがディフェンス。両クラブとも“ここが勝負どころ”という場面でダブルチームをしたり、ゾーンディフェンスにチェンジしたりと、仕掛けのディフェンスで勝利を呼び込む戦術が際立っていました。この点はチャンピオンシップでも注目です。
一方で東地区は今週末のレギュラーシーズン最終戦まで優勝が決まらないだけでなく順位までも定まっていないという接戦が繰り広げられています。争っているのは、過去シーズンでB.LEAGUE年間チャンピオンに輝いたことのある千葉ジェッツ、アルバルク東京、宇都宮ブレックス、さらに第97回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会の覇者、川崎ブレイブサンダースという以前もお話した”B.LEAGUE 四天王”。
これらに共通しているのは強いディフェンスを武器としているところです。40分間、相手のオフェンスにプレッシャーをかけ続け、自由にシュートを打つチャンスの芽をつんでいます。もちろん、これは2戦先勝方式と短期決戦となるチャンピオンシップを勝ち上がるには重要なファクターですので、チャンピオンになる資格を持ったクラブと言うことができるでしょう。
さらに千葉ジェッツと宇都宮ブレックスで争われた昨シーズンのファイナルを振り返ると、オフェスリバウンドが勝敗を分けたと言えます。『オフェンスリバウンドを獲得してセカンドチャンスにつなげる』と『オフェンスリバウンドを奪われないように徹底する』のせめぎ合いに勝った千葉ジェッツが、初の年間チャンピオンの座をつかみました。
今シーズンの各クラブのデータを比較しても、このオフェンスリバウンドからの得点が高いチームがチャンピオンシップに駒を進めており、互いにそれをどう奪うかが勝負のカギを握っていると言えます。ただ、川崎ブレイブサンダースだけが例外で、オフェンスリバウンドのスタッツが他クラブと比較すると低い傾向にあります。これはニック・ファジーカスを筆頭としたフロントコート陣が3Pシュートを積極的に打つ戦術をとっていることが理由として挙げられます。フロントコート陣が3Pシュートを放つ際、ゴール下に選手がいない状況が生まれ、オフェンスリバウンドを奪えないケースが見られます。それでもリバウンド全般のスタッツではリーグの上位に位置していますので、戦術の違いであって決してリバウンドが弱点ということではありません。
今回のチャンピオンシップは強力なディフェンス力を持ち、さらにリバウンドでゲームを有利に進められるクラブが上位に勝ち上がると予想します。これまでファイナルを制したことがあるのは、宇都宮ブレックス、アルバルク東京、そして千葉ジェッツの3クラブのみ。今回、新たに年間チャンピオンの座をつかむクラブが生まれるのか?もしくは過去のチャンピオンが再び頂点に立つのか?今回はどこが勝ち上がっても不思議ではないだけに、最後まで熱戦が期待されます。