2025/02/07B.HOPE STORY#050

[サンロッカーズ渋谷]ジョシュ・ホーキンソン選手・大森康瑛選手・永吉佑也選手「子どもたちに届けたいメッセージ」

昨年9月、サンロッカーズ渋谷は社会貢献プロジェクト「S-Ring」を立ち上げました。「地域に対して還元をするというのもプロの仕事です」と強い思いを口にする神田康範社長は、その質にもこだわっています。今回のB.Hope STORYでは、中学校を訪問し、職業講話を行ったジョシュ・ホーキンソン選手と大森康瑛選手、以前より社会貢献活動に積極的に取り組んでいる永吉佑也選手に“子どもたちに届けたいメッセージ”をテーマに思いを聞きました。

Interview01
ジョシュ・ホーキンソン選手&大森康瑛選手
“1人でも多くの子どもたちにいい影響を与えたい”

――中野区立第七中学校にて多くの生徒さん、保護者の皆様に対して職業講話を行いました。子どもたちに最も伝えたかったことを教えてください。

ホーキンソン)夢を持ち追い続けてほしいと思います。成長する中で、その夢を更新してもいいし、変えてもいいと思います。そして、次の目標を設定して努力を続けること。その中で人間関係を構築し、経験を重ねながら、常に高い目標にチャレンジしてほしいと考えています。それと普段の生活では、なかなか体験できないことに挑戦してほしいですね。例えば、海外に出向き、異文化や言語を学ぶことも有意義です。私は皆さんのチャレンジを応援しています!

大森)自分は主体性を持つ重要性を伝えることを意識していました。中学生以降は自ら判断する機会が増えてきます。自分が決断したことの理由、考え方を少しでも共有して助けになったらいいなと思いながら話をしていました。僕自身、学業とスポーツの両立に加えて、やりたいことを実現するために、未来の自分がどのような人になりたいかを考え、逆算しました。なりたい自分になるために何をすべきかをしっかり考え、目的意識を持って学業やスポーツなどに取り組むことが大切だと思います。

©SUNROCKERS

――社会貢献活動を行う中で、逆に得られるものはありますか?

ホーキンソン)子どもたちにインスピレーションを与えること。それは私たちの責任だと考えています。自分がここまで経験してきたことを彼らに共有することが大切です。いいことも悪いこともありますが、同じような間違いをしないだとか、学びのチャンスになればと思いますし、共有することによって自分も顧みることになります。

大森)中学生の考え方や感覚を知りたいなということは考えていました。自分はまだ19歳ですが、多くの方に影響を与えられる立場にいることはとても光栄なことだと思っています。自分が何か影響を及ぼすことができるなら喜びですし、今後のモチベーションになりますね。

――ホーキンソン選手はアメリカ・シアトル出身です。日米で社会貢献活動の違いを感じますか?

ホーキンソン)大きな違いはありません。アメリカでもスポーツ選手が、コミュニティに戻ってきて子どもたちにインスピレーションを与える活動をしています。組織的な活動だけでなく、自身をロールモデル(模範)として進むべき道を示している選手もいますね。どちらも、地域に還元するという気持ちがあってのことです。

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――大森選手は子ども時代、今回ご自身が子どもたちと触れ合ったようにプロ選手と接する機会はありましたか?

大森)クラブ (SR渋谷 )のU15、U18に所属していたので、キャリアカンファレンスという形で、石井講祐選手(現三河)や小林健太朗さん(現SR渋谷 ヘッドトレーナー)から、プロ選手として生きていく道を伺う機会がありました。その人が経験してきた人生の一部を聞き、質問できるというのは、すごく参考になりましたし、心に残っています。こういう活動はどんどん広げていくことができればなと考えています。

――ありがとうございます。皆さんは、試合や練習がある中でオフコートでも積極的に活動されています。その意義や重要性はどんなところにありますか?

ホーキンソン)オフコートの活動は、バスケットボール選手として非常に貴重で、価値のある機会だと思います。活動の中で、1人でも多くの子どもたちにインスピレーションを与えることができたなら、素晴らしいことですし、意味があるものになると思います。

大森)同じ話になりますが、プロ選手になったからには、影響力をいい方向に使っていくことが社会に貢献する一つの方法と認識しています。加えて人として成長するためにも、自分みたいな若手こそ、どんどん参加することが重要です。今回の職業講話もすごくいい経験になりました。

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――SR渋谷では「S-Ring」プロジェクトがスタートしました。最後に、やってみたい活動があったら教えてください。

ホーキンソン)日本でプレーしたFE名古屋、信州、そしてSR渋谷、それぞれのホームタウンにバスケットボールコートを作るのが夢です。これは大きな夢ですが、様々な貢献をし続けられたら素晴らしいなと思っています。

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大森)僕としてはバスケットボールを媒介にして、活動を広げていきたいですね。大学に在学中で、バスケットボールの活用方法を研究したいという思いがあります。さまざまな機会を作っていきたいと考えています。

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Interview-02
永吉佑也選手
社会貢献活動は「いい事尽くしの機会」

――昨年末、闘病中や貧困の子どもたちを応援するチャリティーイベント「サンタパレード東京」に参加されました。永吉選手のサンタ姿、似合っていましたね。

永吉)楽しかったですよ。ちょうどバイウィークでハードな練習をしているところでしたが、良いリフレッシュになり、参加してよかったです。今回は仙台89ERSの石橋侑磨選手と半澤凌太選手も参加したのですが、共にクラブの魅力を発信する機会にもなったと思います。一緒に参加した阿部諒選手とも「こういう活動をもっとやっていきたいよね」と話していました。
子どもたちは非常に大きな可能性を秘めている存在です。辛い現状があるはずですが、決して諦めてほしくないという思いを届けたい思いで参加しました。B.LEAGUE選手として、もっと言えば大人として、そういった子どもたちにもアプローチを続ける必要があると思います。

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――少し前に遡りますが、昨年6月には日本バスケットボール選手会とB.Hopeが共同で実施した、被災地石川県での復興イベントに参加されましたね。

永吉)様々な体験をさせていただいた機会でした。何より衝撃的だったのは、復興の進んでいない街の風景です。普通に暮らしている中では、情報が入ってこないんだなと、ショックでした。だからこそ、実情を伝えなければいけないという使命感、責任感が生まれた機会でもありました。
復興イベントでは、現地の方とバスケットボールを通じて交流し、本当に明るくて楽しい時間を過ごすことができました。ただ、プレーが終わると街には現実が残っていて、言葉にすることができない感覚もあったのが、正直なところです。

――訪問の中では、永吉選手が申し出て、予定にはない体育館の片付けをしたという話も聞きました。

永吉)避難所として機能していた際の物資が残っていて片付けなければならないということだったので、パワーがある「僕らがやればいいじゃん」と思ってお手伝いをさせていただきました。

 

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――社会貢献活動をする意義や重要性はどのように考えていますか?

永吉)バスケットボール選手を含めてスポーツ選手は、夢を見せることができる存在です。自分も子どもの頃に、鹿児島レブナイズの前進であるレッドシャークスという教員チームに影響を受けて「頑張ろう」というモチベーションになり、夢、目標を叶えてプロバスケットボール選手になることができました。恩返しではないですが、同じように子どもたちに影響を与えることができたらうれしいなと、思っています。

――様々な取り組みをしてきたかと思いますが、最も印象的なものは何でしょうか?

永吉)過去に在籍したクラブで、児童養護施設の子どもたちを試合に招待したのは印象深いです。何度となく施設を訪問し、ご飯を食べて話したり、グラウンドで一緒に走ったり、あそんだりと距離を縮めていくというプロセスがありました。
僕らはよくクリニックをやりますが、児童養護施設の子どもたちはそういう機会に参加できなかったりもします。少なからず辛い経験をしている子どもたちに対して、バスケットボールを活かして夢を持ってもらうことができればという思いでした。

――ありがとうございます。最後に、思いはあるけれど、行動できていないという選手もいるかと思います。アドバイスするとしたらどんな言葉になりますか?

永吉)決してムダにはならない、自分に返ってくる行動だということを伝えたいですね。また、すごくいいモチベーションにもなりますし、多くの勉強ができる機会です。バスケットボールの価値を高めてくれるし、B.LEAGUEの価値も高められるいい事尽くしの機会です。まずは一歩を踏み出してほしいなと思います。

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