千葉ジェッツ・荒尾岳選手&小川麻斗選手が語る活動“見たいのは子どもたちの笑顔”
いよいよ年末が近づいてきました。この時期から話題になるのが、ファン待望のスペシャルイベントです。今季は2025年1月18日、19日、千葉ジェッツの新アリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY」を舞台に、「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2025 IN FUNABASHI」が開催されます。B.Hopeではバスケットボールを通じて、開催地船橋市の地域・社会課題の解決の一助となることを目指す取り組みを行います。
船橋市をホームタウンとする千葉ジェッツは2019年に社会貢献プロジェクト「JETS ASSIST(ジェッツアシスト)」を立ち上げました。プロジェクトは現在、選手たちが各々の思いに沿った内容で活動を進める興味深い状況になっています。今回は、千葉ジェッツでやりたかったことが形にできたと言う荒尾岳選手、自身が育った環境から一人親家庭支援に乗り出した小川麻斗選手に活動への思い、今後について伺いました。
Interview01
荒尾岳選手インタビュー
きっかけは「あの頃の体験をみんなにもさせてあげたい」という思い
――荒尾選手の社会貢献プロジェクト「G.CREW」では、子どもたちの農業体験や食育、自然との触れ合いや環境保全への意識を高める活動などを行っていますね。昨年だけで10回以上とかなり積極的に活動されています。
荒尾)元々プロを長くやっている中で、何か活動をしたい思いがありましたが、なかなか形にできていませんでした。それが2022年にジェッツに戻ってきたタイミングで、クラブ側でもサポートしていただけるということになり、活動をスタートしました。
始める際、自分が好きなこと、興味があることで貢献できたらということを考えて、自然や農業、食をテーマにしようと決めました。富山出身で、山や田んぼといった自然に触れ合いながら育ったこともあり、また、自分も子育てを経験する中で、あの頃の体験を子どもたちにもさせてあげたいという思いが一番強いです。食べ物がどうやってできているかとか、自然の中で活動するとどんな気持ちになるかとか、感じてほしいと思っています。
©CHIBAJETS FUNABASHI
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――参加した子どもたちの反応はどう感じていますか?
荒尾)最初は慣れてないなという子もいますが、遊んでいる中で自然と触れ合って笑顔を見せたり、田植えとか稲刈りでは泥まみれになって楽しんだりして、良い時間を過ごしてくれているなと感じます。ただ、どうやって伝えるか、教え方の難しさを感じています(笑) 子どもたちはみんな笑顔で活動してくれるので、それを見るとこちらも元気をもらえます。
――活動の中で思い出深いシーンを教えてください。
荒尾)そうですね。「G.CREW」の活動に参加してくれた子が、その後試合に来て応援してくれたのは印象に残っています。最後にみんなで写真を撮ったのですが、こちらとしてもすごくいい思い出になりました。また、その後も手紙を送ってくれ、「かっこよかったです」とか「楽しかったです」と書いてくれて、とてもうれしかったです。
©CHIBAJETS FUNABASHI
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――活動したい気持ちは以前からあったそうですが、選手が活動をする意義はどんなものだと思いますか?
荒尾)僕の場合は、本当に自分が好きなことで形にさせてもらっているので、大変さは感じていません。地元クラブとして活動して、還元できたらうれしいなと思ってやっています。個人的にはみんなに勧めるという類のものではないと思っています。やりたいからやるものだと思いますので。
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――最後に今後についてのプランがあったら教えてください。
荒尾)ベースは変わらず、自然とか食をテーマに継続していきたいと思っています。畑仕事や漁業にも興味があるので、ご協力いただける方につながれたらうれしいですね。
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Interview02
小川麻斗選手インタビュー
「僕もそばにいると感じてほしい」
――小川選手は社会貢献プロジェクト「with A」で一人親家庭支援、こども支援という活動をされていますね。
小川)元々僕自身、小学校高学年から母子家庭で育ち、お母さんにいっぱいサポートしてもらいました。お兄ちゃんと自分の2人を1人で支えてくれたおかげで今、プロ選手にもなれたのですごく感謝しています。同じ環境の子どもたちに何かできないかなということで、この支援が始まりました。一人親家庭でバスケをやりたいけどできないという環境だったり、生活の中で不安を持っていたりという子どもたちに少しでも元気や勇気を与えたいです。また、何か相談をしたい時に相談できるもう一人の親として、僕もそばにいると感じてほしいなと思っています。
――活動に参加した子どもたちには、どんな経験をしてほしいと考えていますか?
小川)同じ境遇ですから、仲良くなって友だちになってほしいですね。また、せっかくならバスケをやってほしいなと思うので、楽しさを感じてほしいです。参加した子どもたちからは、「楽しかった」だったり、「バスケを始めました」といった声も聞いているので、うれしいですね。
©CHIBAJETS FUNABASHI
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活動の根底には、バスケをこれからも盛り上げていきたいという思いがあります。今、日本代表がワールドカップやパリ2024オリンピックで活躍してくれたことでバスケが注目を浴びています。そういった状況の中で社会貢献活動をすることで、選手やクラブの存在を知り、そこからバスケを観戦したいという人も増えると思います。
――プロ選手が社会貢献活動をする意義については、どう考えていますか?
小川)子ども時代を考えた時、プロ選手と関わる機会というのはほとんどありませんでした。夢や希望を与え、元気付けることができる存在だというのは大きいと思います。一緒にバスケをすることで元気をもらえる人もいると思いますので、もっとプロ選手と触れ合う機会が増えていくとうれしいですね。
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――逆に子どもたちと触れ合うことは、小川選手にとっても特別な機会になるでしょうか。
小川)そうですね。「with A」だけでなく、千葉ジェッツのクリニックで子どもたちとバスケを楽しむことがあります。その中で子どもたちの笑顔を見ると自分もうれしいです。クリニックに参加してくれた子どもたちの中から一人でも、バスケを続けたり、好きになったりする子が増えてくれたらうれしいです。それと、自分のことを応援したいという子も増えてほしいですね(笑)
――今後の活動について、新たなアイディアはありますか?
小川)11月のバイウィークでキャンプをやる予定です。あとは親子で参加できる料理教室を開く予定もあります。料理を一緒に作ることで親との距離も近づくと思いますし、自分がいることで会話も生まれやすいと思っています。また、子どもたちだけでなく親と一緒のバスケクリニックもやって、その後、親子でLaLa arena TOKYO-BAYでゲームを観戦してもらうことも考えています。子どもたちが親に感謝の気持ちを伝える機会を作りたいですし、大人になっても感謝の気持ちを忘れないでほしいなと思っているので、それは伝えていきたいです。
©CHIBAJETS FUNABASHI
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――活動の中で、そのメッセージも伝えているのですね。
小川)そうですね。先日のクリニックでも「親に『いつもありがとうね』」と言う機会を作りました。言葉を伝えられたら、親にとっても当然うれしいですし、かわいい子どもとの絆が深まると思いますし、仕事にも精が出ると思っています。
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