2024/08/30B.HOPE STORY#039

シェーファーアヴィ幸樹選手インタビュー!

シーホース三河「Be With」で目指す未来のカタチ(前編)

「地域貢献とスポーツ振興を使命とし、バスケットボールを主体としたアリーナエンターテインメント」というビジョンを持つシーホース三河(以下三河)は、愛知県三河地域に根ざしたクラブとして地域と共にバスケを通じて社会課題の解決に努めてきました。そして、この活動は2022-23シーズンより、SDGsプロジェクト「Be With」と名付けられ、より積極的な取り組みをスタートしています。

「スポーツの持つ最大の魅力は、感動を共有し、多くの人をつなぐことができる点にある。試合や活動をきっかけに、人と人、人と企業、人と街がつながること。そして仲間が増えることで、地域が活性化し、そこに賑わいを生む」。それこそが三河が目指す景色です。オンコートでは「共に頂点へ」、オフコートでは「共により良き未来へ」。その合言葉、想いに賛同するファンやパートナー企業、地域社会と共に三河は今後も持続可能な成長を続けたいと考えています。今回は、「Be With」の活動の一つである特別支援学校訪問について、そして三河ならではの活動であるタツヲ焼きプロジェクトについて、お話を伺いました。
 

シェーファーアヴィ幸樹選手インタビュー
特別支援学校の子どもたちをホームゲームに招待「積極的な質問にしっかり答えようと思っていました」

――西尾特別支援学校の子どもたちを試合に招待して交流会を実施した際は、生徒の皆さんから積極的に質問されたそうですね。

シェーファー)改めてプロのバスケ選手という自分の立場を感じた経験でした。子どもたちがとても積極的に質問してくれたので、コミュニケーションがすごくとりやすかったし、楽しい時間になりました。バスケをやっている子どもたちだったので、シュートやリバウンドの取り方について具体的に質問してくれて新鮮でしたね。僕としてもしっかり答えようと思っていました。

――子どもたちとの触れ合いの中で、印象的だったことは何でしょうか?

シェーファー)すごく仲間意識が強かったのが印象的でしたね。よく質問する子もいますが、恥ずかしがってなかなか喋れない子もいました。でも、その子を応援する雰囲気もあって、とてもいいなと感じました。こういう訪問では、こちらもどう接していいか探りながらのところもあるので、積極的に質問してくれたのでいろいろな話をすることができました。

――アメリカでの大学時代にも、社会貢献活動には参加されていたのでしょうか?

シェーファー)大学のチームで活動したという記憶はないですね。ただ、個人的にと言いますか、知り合いを通じて現地の日本人学校に遊びに行ったことが数回あります。一緒にバスケをやって、いろいろな人とコミュニケーションを取っていました。

――社会貢献活動として意識するようになったきっかけはありますか?

シェーファー)元々小学校に行って子どもたちにいろいろなことを教えたり、喋ったりというのをやっていましたが、当時は社会貢献活動というつもりはなかったんですよ(笑)。その意識が変わるきっかけが、初めてオールスターに選ばれたB.LEAGUE ALL-STAR GAME 2020 in HOKKAIDOでした。期間中に1日かけてのイベント*の中でいろいろな経験ができ、すごく勉強になったし、楽しいと感じたんです。それをきっかけにプロのバスケ選手としていろいろな人と関わることの大切さというのを考えるようになりました。
*=B.LEAGUE Hope B.LEAGUE ALL☆Star Game 2020 IN HOKKAIDO ユニファイドスポーツフェスタとして、準備体操やボールゲーム、ユニファイドバスケットボールクリニック、ユニファイドレクリエーションスポーツを楽しんだ。フェスタにはシェーファー選手をはじめ、12人の選手が参加している。

©B.LEAGUE

©B.LEAGUE

――これまでの社会貢献活動の中で印象的だったことを教えてください。

シェーファー)自分が小学生だった時にあるプロ選手と関わる機会があったんです。その時の自分の気持ちを思い返すと子どもたちにとっては、僕たちが思っている以上に大きな出来事だし、うれしいことなんです。だから、なるべく多くの子どもたちに声をかけようと思っています。その反応とかを見ていると、今は僕がそういう立場になっているんだなとうれしい気持ちにもなります。それは印象的ですね。特に気をつけているのは、質問には本気で答えるということとなるべく褒めるということです。子どもたちは本気で質問してくれます。だから、なるべくしっかりと答えてあげたいし、自分の経験からも褒められるという経験はすごくうれしい記憶として残ります。それが“次頑張ろう”というやる気にもつながると思います。

――プロ選手が社会貢献活動をする意義について、どうお考えでしょうか?

シェーファー)やはりスポーツ選手は注目される存在です。その選手が社会貢献活動という形で影響を与えていくことで、より良い方向に力が働くと考えています。Bリーグの中で、どれだけいろいろな人に夢を与え、いい影響を与えることができるか? それを考えると、コート上でのパフォーマンスももちろんですが、オフコートでの限られた時間をいかに有効に使うかが大切だなと感じています。

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――ありがとうございます。最後に、今後やっていきたい活動があったら教えてください。

シェーファー)自分としてはアメリカの大学にいた経験があり、日本との違いだったり大変さだったりを知っています。そういった経験を生かして、日本からアメリカにチャレンジするという子どもたちへ何かができたらいいなと思っています。

チームスタッフに聞く「タツヲ焼きプロジェクトの広がり」

©SeaHorses MIKAWA

――タツヲ焼きプロジェクトは特色のある活動だと思います。元々は地元の高校生の活動を、シーホース三河所属タレントのタツヲが知ったところからスタートしたそうですね。

2019年にスタートしたプロジェクトです。高浜高校地域活動部SBP**班の活動を知った、タツヲがクラブに要望し、実現化しました。オリジナルの金型を作るためには費用がかかりますが、高校生たちは既に持っていた金型で作った「絆焼き」を市のイベントやお祭りに出店して販売。金型代を自ら工面したという経緯があります。また、2022-23シーズンからは新たな金型を作り、待機列解消や満足度向上に繋げています。
**=ソーシャル・ビジネス・プロジェクト。高校生が主体となって地域資源(歴史、産業など)を活用。新しいビジネスを生み出す取り組みのこと

――2019-20シーズンの販売開始以降、毎回目標販売数を達成していると伺っています。収益はどういったことに活用されていますでしょうか?

収益を活用し、地域住民の方々をご招待しバスケ観戦を体験いただいています。 試合会場でタツヲ焼きを購入いただいた方をはじめ、こども食堂や高齢者施設の皆さまにもタツヲ焼きをお届けさせていただきました。タツヲ焼きプロジェクトを通じて、地域の皆様に笑顔になっていただけていると感じています。

©SeaHorses MIKAWA

――アウェーでも大盛況の取り組みです。今後の計画はありますか?

おかげさまで三河地域だけではなく全国からニーズがある状況になっています。出張販売だけではない、冷凍タツヲ焼きなど新たな販売方法の確立も検討しているところです。

本インタビューは後編(9月中旬公開予定)に続きます。