2024/06/28B.HOPE STORY#036

五十嵐圭選手インタビュー!

群馬クレインサンダーズ「太田をバスケの街に」(後編)

©群馬クレインサンダーズ

群馬クレインサンダーズを運営する株式会社 群馬プロバスケットボール コミッションでは、ホームタウンを太田市に移転した2021ー22シーズンより『CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)』と題した地域貢献活動に取り組んでいます。「地域を元気にするスポーツチーム」を目標として掲げるように、地域に根差した活動で群馬県、そして太田市を盛り上げています。後編は五十嵐圭選手、星野曹樹選手にお話をうかがいました。

【インタビュー対象者】
・五十嵐圭選手

ーー今シーズンの最終節ではレモネードスタンドプロジェクト に参加し、学生と一緒にレモネードを販売しました。参加した感想を聞かせてください。

五十嵐)群馬クレインサンダーズに加入した1シーズン目から地元の高校生と一緒に活動させていただいています。店頭に立って販売させていただいているのですが、シーズンを重ねるごとに認知されてきていると実感します。一生懸命にやってくれる高校生だけではなく、一緒に取り組む自分たちクラブにとってもすごく大きな意味があると感じていますし、知っていただく機会がより増えればいいと感じています。
※レモネードスタンドプロジェクトについてはこちらをご覧ください。https://g-crane-thunders.jp/news/detail/id=15033

活動に参加した五十嵐選手
©群馬クレインサンダーズ

ーーどのようなシーンで認知されてきたと実感しましたか?

五十嵐)店の前で足を止めてくださる方が増えたということですね。レモネードの売上が寄付金になることをわかった上で、皆さんは購入してくれていると思います。実際に寄付金の金額も年々増えていますね。

ーー学生の取り組みをどのように感じていますか?

五十嵐)学生だからといって子どもではありません。高校生が主体になって、いろいろなことを考えながら取り組んでいると思います。僕自身は昨シーズン終了後、ぐんま国際アカデミーにうかがい、活動報告会にも参加させていただきました。どのようなことをしたら自分たちがこの地域に貢献できるのかを考えながら取り組んでいると感じます。

©群馬クレインサンダーズ

ーー五十嵐選手はB.Hope活動の一環でもある『そなえてバスケ supported by 日本郵便』にも参加されたようですね。

五十嵐)クラブの活動以前に個人的にすごく勉強になるなと。昨シーズンからやらせていただいて、1年経つと忘れてしまうようなこともありました。自然災害はいつ起こるのかわからないものなので、定期的に再確認するのはすごくいいことだと思います。取り組みを見てくださるファンの皆さんに対して「こういったことが大切なんだ」と、リーグが発信し、クラブや選手も伝えていくことで、より多くの方に広めていければいいですね。
 

ヤフー防災模試を受験した五十嵐選手
©群馬クレインサンダーズ

ーー自身の長いキャリアにおいて、一番印象に残っている社会貢献活動は何ですか?

五十嵐)普及の意味も込めて、今シーズン開幕前に「KEI SEAT」というものを発表させていただきました。26、27歳の時、同じように子どもたちを招待し、試合を観戦して何かを感じてもらえればと思って始めました。

当時子どもたちが試合会場に足を運ぶ機会は少なかったのですが、Bリーグ誕生後はクラブ数が増え、地域密着もより重要視されるようになりました。オープンハウスアリーナ太田を含め全国に素晴らしいアリーナがあり、そこでプロの試合を見る機会を作ってほしいという思いから、日曜日のホームゲーム全12試合で自分の背番号にちなんで7席用意し、作成したオリジナルTシャツとともにプレゼントしました。試合後に子どもたちと触れ合う時間を作ったのですが、目をキラキラさせて、本当に楽しそうな顔を見ることができました。
個人的にはすごくうれしかったですし、こういった活動も続けていきたいです。また、各クラブ、Bリーグとしてもこのような機会を設けていってもらえたらと思っています。

ーーBリーグ以前に試合招待を実施したのは、どのような経緯があったのでしょうか?

五十嵐)当時はホームアリーナがなく、ホーム&アウェーのレギュレーションもない時代でした。国立代々木競技場 第二体育館がバスケットボールの聖地と言われていて、当時所属していた日立サンロッカーズ(現サンロッカーズ渋谷)はそこで試合を開催する機会が多く、バスケットボールの聖地と呼ばれる場所で、子どもたちに何かを感じてもらえたらと思っていました。

自分は日本代表にも入っていて、バスケットボールをこれから盛り上げていきたい、認知してもらいたいと思ったなかでの活動でした。自分自身が子どもの頃、バスケットボールの試合を見に行くという環境すらあまりなかったんですよね。こういった場所で試合をしていて、ここがバスケットボールの聖地なんだよと。そして、トップリーグに所属する選手たちはこういったプレーをするんだよ、というのを見てもらえたらと思っていました。

「KEI SEAT」に参加した子どもたちと五十嵐選手
©群馬クレインサンダーズ

©群馬クレインサンダーズ

ーーこれまでの社会貢献活動で心を動かされたエピソードがあれば教えてください

五十嵐)東日本大震災の復興チャリティーイベントとして宮城県を訪れて被災地を回った時、子どもたちや親御さんが来てくれました。復興という意味で完璧ではない時期に、自分がそこに行って「ありがとう」と言葉を掛けられる。本来であれば自分たちが「このような状況なのにイベントに参加してくれてありがとう」と伝えなければいけないのに、逆に「ありがとうございました。元気をもらいました」と。復興が進んでいない状況でも希望を持って暮らしている、生きている方たちを見て、そのような方たちから「ありがとう」と言葉を掛けられたのが印象的でした。

自分たちは「アスリート」と言われる人間です。アスリートが与える影響は大きいと感じます。何か特別なことをやるわけではなく、声を掛けるとか、イベントに参加するだけでも、何かを感じてもらえる方たちが多くいるのはうれしいと同時に、それが大きな責任でもあると感じました。

ーー五十嵐選手の背中を追いかけてプロバスケットボール選手になったプレーヤーは多くいます。コート外の貢献について、後輩選手へメッセージを送るならどのような言葉を掛けますか?

五十嵐)今の若手選手は本当にレベルが高いと思います。Bリーグという舞台で活動している以上、子どもたちの目標である存在になること。野球、サッカーに次ぐではなく、日本でもBリーグが一番になるぐらいの気持ちでプレーしてほしいです。どうやってこれから先の日本のバスケットボールを盛り上げていけるのか、Bリーグを盛り上げていけるのかを考えながら取り組んでほしいです。

今でこそ当たり前のように報道されていますが、昔はメディアに取り上げられることなんてほとんどありませんでした。僕は若い頃、メディア活動のパイオニアとして自分自身の名前を広げていきました。Bリーグにも個性のある選手が多くいるので、オフ期間を使って、自分をきっかけにBリーグ、バスケットボールを知ってもらう活動も積極的に取り組んでほしいです。Bリーグ側としてもプッシュしていただけたらいいですね。

ーーBリーグ、バスケットボールをより普及していくために必要なものは何だと思いますか?

五十嵐)まずは日本代表が強くなること。そうすることでレベルが上がっていくと思います。海外に挑戦する選手、世界最高峰と言われるNBAでプレーする選手が今後、もっともっと増えていくのが理想ですね。国内では2026年からB.LEAGUE PREMIERという新しいフォーマットに変わっていくなかで、地域に密着しつつ、行政の皆さんと協力し合いながらやっていく必要があります。僕が長くトップリーグでプレーしてきて、やはりそこは切っても切り離せない関係性だと思います。これまでやってきたことを大きく変えず、地域に密着しながら、日本全体を盛り上げていくことが必要になってくると思います。

©群馬クレインサンダーズ

ーー地域密着において選手が貢献できるのはどのような部分でしょうか?

五十嵐)コート上でいいプレーを見せるのはもちろんです。その県出身選手や、その県につながりがある選手は多くいると思います。恩返しの気持ちで取り組むこと、地域の皆さんとコミュニケーションを取っていくことが貢献という言葉に変わっていけばいいと思います。

ーー群馬クレインサンダーズは『CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)』と題して様々な社会貢献活動に取り組んでいます。クラブの姿勢についてはどのように感じていますか?

五十嵐)クラブをすごく誇りに思いますし、そういった活動は当たり前ではありません。活動を続けていくことで、群馬県内、そして全国の皆さんに群馬クレインサンダーズを知ってもらういいきっかけになると思います。選手としても何か協力できることがあればやっていきたいです。先ほども言ったように、自分たちがコート上でいいプレーを見せて、勝利を届けるのが一番の恩返しです。オフコートでは施設を訪ねるなど、活動に参加するのが自分たちにできることだと思っています。

ーー群馬クレインサンダーズでの3シーズン目を終えました。群馬県内において、クラブの存在の変化を感じていると思います。

五十嵐)ものすごく感じていますね。僕が加入する前はB2に所属していましたが、そこでオープンハウスグループがオーナーになってから劇的に変わり、僕が加入したタイミングでホームタウンが前橋市から太田市に移転しました。年々この群馬クレインサンダーズが地域に根付いてきていると感じます。選手としてはすごくうれしいことです。

ただ、群馬県内や他の市町村で認知されているかといったら、まだまだ足りないと思います。今後は「群馬県といえば群馬クレインサンダーズ」と言ってもらえるようにしたいですね。可能性のあるクラブで、やることがまだ多くあるクラブ。結果を残していくことはもちろん、レモネードスタンドプロジェクトなどの恩返し活動を続けて認知度を上げていければと思っています。

©群馬クレインサンダーズ

今後も、ぜひ五十嵐選手の活動にご注目ください
星野選手インタビューはこちらhttps://www.bleague.jp/b-hope/hope-story/story_detail/id=434312
※CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)についてはこちらをご覧ください。https://g-crane-thunders.jp/csr/