「恩返しがしたい」片岡大晴選手が社会貢献活動で伝えたい想い
「プレーすることでたくさんの人から応援していただいているので、オフコートで恩返しがしたい」
現在、仙台89ERSでプレーしている、仙台市出身の片岡大晴選手は、オフシーズンには自ら学校を訪問し、子どもたちとバスケットボールをしたり、クラブが推進するSDGs活動『NINERS HOOP SDGs』※の一環として、自らの発案による『空飛ぶ絵本』プロジェクトを実施。
片岡選手はどんな想いで活動に取り組み、自身が得たものは何だったのでしょうか。
※『NINERS HOOP SDGs』の詳細はこちら:https://www.89ers.jp/lp/2021niners-sdgs/
片岡選手へのインタビューはZoomで実施
バスケットボールを通じて子どもたちに「僕もみんなを応援しているよ」という気持ちを伝えたい
ーーオフシーズンに自ら学校を訪問し、子どもたちとバスケットボールをしていると聞きました。なぜこの活動を実施しようと思ったのでしょうか。
片岡)僕も3人の子どもがいますが、新型コロナウイルスの影響で、入学式や卒業式が中止になってしまったり、学校にも行けないなど、子どもたちが生活する上で制限がたくさんあると感じていました。 「何か自分に出来ることはないか」、「普段試合会場で応援していただいている分、逆に僕もみんなを応援しているということを伝えたい」と思いました。 地元の知り合いの方や先輩の中には、バスケットボールを教えている人がたくさんいます。その人たちに相談して、部活動やクラブチームで活動しているところにお邪魔させていただき、小中学生の子どもたちと一緒にバスケットボールをしたり、教えたりしました。 遠いところだと、石巻や南三陸にも行きました。5校ほどお邪魔させてもらいましたが、僕自身本当はもっと多くの学校に行きたかったと思っています。
ーー実際行ってみていかがでしたか。子どもたちはどんな反応でしたか。
片岡)凄く喜んでくれて、本当に行って良かったですし、とても大切な時間だと感じました。みんなとにかく元気なんですよね(笑) 中学生の女の子が最初は恥ずかしそうにしていたのに、最後はバスケットボールを楽しんでくれていたのは今でも覚えています。 「応援しているよ」の気持ちを伝えたくて行ったのに、逆に僕が元気をもらいました。少しでも僕の想いが子どもたちに伝わっていたら嬉しいです。毎年オフシーズンには実施していきたいと思っています。
ーーちなみに仙台89ERSでは「NINERS HOOP SDGs」というSDGs活動を実施されていますが、この活動にも片岡選手は多く参加されてますね。思い出に残った企画はありますか。
片岡)東日本大震災から10年を迎えた2020-21シーズンに、当時、解散の危機に陥ったナイナーズを支えてくださった地元・みやぎに住むたくさんの皆さんに、改めて私たちが“みやぎ”をまわり、感謝を伝えたい!という想いから「NINERS HOOP」が立ち上がりました。 その企画の1つとして、選手が3チームに分かれ、試合を開催する6市町を巡って、宮城県の魅力をお伝えするという「みやぎの魅力伝え隊」※を実施しましたが、多くの方に感謝を伝え、触れ合うことが出来て良かったです。宮城県出身ではない選手も多いので、選手もみやぎの魅力を知る事が出来ましたし、ファンの方にも選手を知ってもらうことが出来ました。
※「みやぎの魅力伝え隊」の詳細はこちら:https://www.89ers.jp/lp/2020niners-hoop/
親子の大切な時間を作るきっかけに『空飛ぶ絵本』プロジェクト
ーー片岡選手発案の、「絵本を子どもたちへプレゼントする」というプロジェクトのきっかけはどんなものだったのでしょうか。
片岡)僕はもともとキャンプが好きでオフになると家族でよく行ったりするんですが、キャンプインストラクターの資格を取得しました。その中で母子家庭の親子を対象としたキャンプにスタッフとして参加しました。 忙しくてなかなか子どもと一緒に過ごす時間が取れないお母さんたちが、このキャンプで楽しそうに過ごしている様子を見て、「親子の時間の大切さ」を感じました。親子を応援した素晴らしい企画だったので、自分も何かしたいと思った時に「絵本」がこの親子の時間作りのきっかけになると思いました。
ーーこのプロジェクトは今シーズンのホームゲームで、仙台89ERSが試合に勝利するたびに子どもたちに絵本をプレゼントするというものですが、絵本のセレクトは片岡選手がしているのでしょうか。
片岡)そうです。図書館からリストを頂いて、その中から僕が選定し、購入させて頂いています。昔話の物語だったり、自分が母親に読んでもらった絵本だったり、自分の好みで選んでいます(笑) あと、昨年12月29日のホームゲームは『NINERS HOOP SDGsデー』だったので、ここでは空飛ぶ絵本ポストを試合会場に設置して、ファンの方に読まなくなった本を投函してもらいました。当日はたくさんの人が本を持ってきてくれて凄く嬉しかったです。ちなみにこの時のポストは家族に協力してもらって、つくりました。
ーー寄贈された本はなんと370冊、10施設に寄贈されました。たくさんの本が親子にプレゼントされましたが、実施した感想を教えてください。
片岡)本は児童館やNPO法人などを通じて親子に届けてもらっていますが、このプロジェクトのきっかけとなった「親子キャンプ」にも参加して、絵本を届けてきました。じゃんけんをして好きな絵本を選んで、楽しそうに絵本を読んでいる姿を目にすることが出来て、凄く嬉しかったですし、感動しました。
また、この企画は協力してくれたスタッフ、図書館の方々、絵本を投函してくれたファンの皆さんなど多くの方のおかげで実施出来ました。本当に感謝の一言です。 1年で終わらせたくないので、(1試合でも多く勝てるように)頑張っていきます。
スポーツ選手が社会貢献活動をする意義とは
ーースポーツ選手が社会貢献活動をする意義は何でしょうか。
片岡)僕はこれまでいくつかのクラブに所属してきましたが、どこのクラブでも感じるのが「応援してくれている」ということです。それに対して何かの形で返したい、恩返ししたいと思っています。 「オンコートで様々な人から力をもらっているので、オフコートで恩返しをしたい」ということですね。 スポーツ選手は多くの人から見られる職業なので、僕の活動を知った子どもたちが「真似してみよう」と思ってくれて、それがどんどん繋がっていったら嬉しいと思っています。
仙台は僕の地元なので、ここで生まれ育ち、バスケとも出会った地なので、地域に貢献し、仙台89ERSが地域の方に誇らしいと思ってもらえるクラブにしていきたいです。
ーー子どもたちとのバスケットボールや『空飛ぶ絵本』プロジェクトを通じて、子どもたちからの反応やパワーを感じていらっしゃいましたが、これから社会貢献活動をしたいと思っている選手に伝えたいことやアドバイスはありますか。
片岡)まずはプロ選手として本業であるバスケットボールを頑張ること、努力することだと思います。それをすることで、多くの人が応援してくださいます。 社会貢献活動を実施するタイミングは、人それぞれだと思っているので、自身が必要だ、やりたいと思ったタイミングで声をあげることが良いのかなと。なので、僕は自分が活動する時に周りの選手を誘ったことはありません。チャレンジしたいと思った時に、声をあげて欲しいと思います。とりあえずやってみることが大事ですね。
今後の活動について
ーー今後実施してみたい活動はありますか。
片岡)実は1つやりたい企画があるんです。『空飛ぶ絵本』プロジェクトのお話をさせて頂きましたが、絵本つながりで、子どもたちに絵本の読み聞かせをしてあげたいと思っています。幼稚園などでは教育時間が終了するとその後預かり保育の時間になりますが、その時間に僕が子どもたちに読み聞かせをしてあげたいと思っています。1日の終わりに楽しい時間を過ごせれば、きっとその日1日が素敵な1日だったと感じてもらえると思うんです。本は僕がセレクトした本を持っていってあげたいですね。
ーー素晴らしい活動ですね!今後も片岡選手の想いが詰まった活動が展開されていくことを期待しています。