B1・B2 入替戦 2017-18
来シーズンの両者の運命を分けるB1・B2入替戦。シーズン終盤までB1中地区2位争いを演じながらも昨シーズンに続いて残留プレーオフに回り、2回戦で苦杯を喫した富山グラウジーズにとっては、これが最後のB1残留のチャンス。
そして、昨シーズンあと一歩のところでB2プレーオフ進出を逃し、借りを返すべく臨んだ今シーズンはB2西地区2位でワイルドカード枠に滑りこみ、プレーオフで苦しみながらも3位の座を確保した熊本ヴォルターズは、ようやくB1昇格に手の届くところまでたどり着いた。
いばらの道を走り抜けてきた両者が5月27日、横浜アリーナで激突。1点を争う大接戦を88-85で制したのは富山グラウジーズだった。
昨シーズン以上に苦しんだが、最後の最後でその地力を証明した形だ。一方の熊本も、目の前にあった大魚を逃したとはいえ、B1クラブに食らいついた粘りは見事の一言に尽きる。
最後まで一瞬も目が離せない展開となった激戦の経過を以下に追う。
ティップオフ直後、B2リーグ 2シーズン連続アシスト王の熊本 #2 古野をマークした富山 #9 水戸がそのドリブルをカットして#34 ウィラードの速攻につなげ、富山が先制する。熊本も負けじと#7 小林のスティールから#1 中西が速攻で得点。
その後拮抗した状態が続く中、#2 古野の3Pシュートと#1 中西のジャンプシュートで熊本が一歩抜けだす。#1 中西の積極的なアタックは富山を苦しめ、点差は一時7点まで開くが、富山にも#2 橋本の3Pシュートや#13 チャップマンのバスケットカウントが飛び出し、23-20の熊本3点リードで第1クォーターが終了。
第2クォーター、富山は引き続き#13 チャップマンがダンクとジャンプシュートで加点して逆転に成功。熊本が#30 ウッドベリーのバスケットカウントなどで対抗すれば、富山も#24 大塚の3Pシュートが2本炸裂。#24 大塚はさらにジャンプシュートも決めて今度は富山が抜けだし、#30 ウッドベリーのアタックに手を焼きながらもリードを保つ。
#14 ヴァンデンバーグのプットバックダンクがバスケットカウントとなり1点差に迫られるも、#11 宇都のフローターなどで押し戻し、前半は富山が42-38とリードした。
第2クォーターに劣勢ながらも#30 ウッドベリーのアタックでつないだ熊本は、第3クォーターに入ると#1 中西がその役を担う。富山 #15 青木と#81 小原のファウルを立て続けに誘った#1 中西は、フリースローと相手の隙を突いたカットインで着々と加点。このクォーターだけでフリースロー9本を含む15得点を挙げ、#15 青木と#81 小原をファウルアウトに追い込む。
スモールラインアップへのシフトチェンジを強いられた富山がゾーンディフェンスを敷くと、#7 小林がすぐに3Pシュート。#22 上江田が3Pシュートを決め返すものの、第3クォーター終了時点で66-64とリードは再び熊本に移る。
それでも富山は第2クォーター同様、第4クォーターの出だしに#13 チャップマンの得点ですかさず同点に追いつく。さらに#11 宇都のアシストで#45 ピットマンが速攻を決めてリードするが、その後は熊本がシュートを外せば富山もシュートを外し、熊本が決めれば富山も決め返す。互いにフリースローで得点を積み重ねるものの、勢いをたぐり寄せる決定打を出せず、富山がわずかながらもリードしたまま時間が流れる。
熊本は残り2分6秒で#22 上江田をファウルアウトに追い込みながら、残り1分22秒には#1 中西を5ファウルで失い、あと1点が届かない。残り1分を切って#34 ウィラードに2本のシュートを許すと、残り7秒の#30 ウッドベリーの3Pシュートで再度点差に詰め寄るが、ファウルゲームのフリースローを#11 宇都に2本決められ3点差。同点狙いの#30 ウッドベリーの3ポイントシュートが外れて熊本は万事休した。
B2・B3 入替戦 2017-18
今シーズン、初めて開催されたB2・B3入替戦。出場したのは、B2で7勝53敗と全体の最下位となった岩手ビッグブルズと、B3の3つのステージすべてで1位となってB3リーグの推薦を得た八王子トレインズだ。
レギュラーシーズン終了後に試合間隔が空いてしまった岩手に対し、八王子もB3の独自ルールである帰化申請選手枠を使うことができず、さらにはシーズンMVPに輝いた#77 大金が負傷で出場不可と、いずれも不安要素を抱えての戦い。
それをどのようにカバーするか、チームの総合力が問われた。
こうして横浜アリーナで行われた決戦は、55-83で八王子に軍配。いくつかの悪条件をはね返し、八王子がB2昇格の夢を果たす結果となった。
意外なほどの大差がついたこの試合、両者が見せた戦いぶりを振り返る。
立ち上がりで主導権を握ったのは、普段と異なる戦い方を強いられたはずの八王子だった。#52 ジョーンズがオフェンスリバウンドからファウルをもらい、フリースローで先制。これでチームが落ち着き、#3 亀崎や#14 地久里が思い切りよく外角シュートを打つ。
一方、岩手は開始2分で#10 菅澤が2ファウルでベンチに下がり、代わって入った#5 千葉もゲームクロックが1秒も流れない状況で2ファウルと、気負いが見られる。
7-2と先手を取った八王子は、ディフェンスでも高い位置から相手にプレッシャーをかけ、スティールから#99 大城が速攻レイアップを決めるなどして差を広げにかかる。
岩手は#44 ソープが積極的にアタックし始めたところからようやく落ち着きを取り戻し、#12 鈴木が3ポイントシュートを2本決める活躍。22-16の八王子リードで第1クォーターを終了する。
点差を詰めたい岩手は、第2クォーターの出だしからフルコートプレスディフェンスを仕掛け、ハーフコートでは2-3ゾーンを敷く。
攻めては#7 サンダース・フリソンの連続得点で1点差。その後は互いにフリースローを2本外すなど、岩手は追いつけず、八王子は突き放せずというどちらにとってももどかしい展開。
そこから#10 マッケルロイがオフェンスを冷静にコントロールした八王子がリードを8点差まで広げ、39-31で折り返す。
第3クォーター、岩手は#22 ブラックレッジがドライブからのダンクを皮切りに6得点を稼ぎ、3点差に迫る。
しかしそこから、八王子は#52 ジョーンズが持ち味の体を張ったプレーで得点を量産。このクォーターだけで10得点を挙げた#52 ジョーンズの活躍に引っ張られるように、八王子は#3 亀崎の3ポイントシュートや#25 山口のジャンプシュートなどで点差を広げ、ディフェンスでもプレッシャーをかけ続ける。
#22 ブラックレッジに6得点を許して以降の約7分半は2得点に抑えこみ、62-41と点差はあっという間に21点まで開いた。
迎えた最後の10分、多くのファンが駆けつけた岩手も諦めることなくゴールに向かう。
3ポイントシュートを外した岩手 #18 加藤が自ら拾ってフローターを決め、直後のディフェンスではパスカットから速攻レイアップ。
しかし、15点差となったこのタイミングで八王子はタイムアウトでしっかり立て直し、#20 ジェームスのオフェンスリバウンドや速攻ダンクなど、岩手に対して強みとなるプレーを継続。終盤にも#10 マッケルロイの執念のルーズボールや#20 ジェームスのダンクなど、ハッスルプレーを連発してブースターを興奮の渦に巻き込んだまま試合を進める。
最後には#39 中村がドライブを決め、出場10選手全員得点で念願のB2昇格に華を添えた。